ブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)の第151回定期評議員会が10日午前、文協ビルで開催され、ジャパン・レールパス(以下JRパス)問題に関する善処や再考を関係機関やJRに求める具体策を、「対日本政府機関連絡特別委員会」(文協の一部門)が練ることで全員一致した。
高木ラウル評議員(二世)は「その他」の項目で、JRパス問題に関して「これは非常に差別的な処置であり、我々二世は、両親の権利を守るために、コミュニティ全体で訴えていくべき」と提起した。
くわえて、川添博評議員(長崎県人会長)も「30年、40年も外国に住んでいるものは、準外国人として待遇してほしい。少なくとも65歳以上は今まで通りにするとか、具体的な折衷案を出して交渉してほしい。文協はもちろん、援協も入ってもらって日系社会が一丸となってとりくむべき。でないと日本との交流自体が狭まる危険性がある」との意見をのべた。
林アンドレ評議員は「これは日本側に訴える案件だから、具体的な方法は対日本政府機関連絡特別委員会で検討すべき」と話した。
これを受け、原田議長は「我々の88年憲法は外国人とブラジル人を差別していない。グローバル化する時代の中で、なぜ日本はそんな差別的なことをするのか」とのコメントをのべ、「この問題を文協が引き受けることに関して、評決をとる。異議があるひとは立ち、賛同者はそのまま着席」と呼びかけ、全員一致で承認された。
署名活動をするか、嘆願書を送るかなどの具体的な方策は同特別委員会で検討する。
中沢宏一評議員(宮城県人会長)は、「移民110周年の時に皇族に来て頂けるのであれば、いまの日系社会を代表する行事である日本祭りのご視察をお願いしたい。であれば、再来年の7月を念頭においた記念行事の日程調整の検討を」と提案したが、原田議長は「時間なので終了する」と閉会を宣言し、なんら議論はされなかった。
当日はまず呉屋会長が開会の挨拶をし、2017年度事業計画案を花城アナクレット専任理事が読み上げ、質問ゼロで承認。続いて同年度予算案が中垣シゲミ企画予算担当理事から説明され、質問ゼロで承認。「その他」でのみ、意見提起や話し合いがあった。
当日に出席した評議員は38人で、委任状は17人分あったので計55人で決議された。
閉会後、呉屋会長に赤字部門の財政改善策について質問すると、「日本館は広報がうまくいって今年黒字になった。あとは史料館、国士館にもがんばってもらわないと。特に史料館は早く『友の会』を発足させ、文協本体とは別にスポンサー探しができるようにし、早く黒字化してほしい」と要望した。