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「路上の詩」の優勝者決まる=サンパウロ市の黒人女性が世界大会に

 15~18日にサンパウロ市のイタウ文化センターで開催されていたストリート詩人による詩の全国大会で、サンパウロ市在住のルス・リベイロ氏(28)が優勝し、フランスで開催される世界大会に出場する事になったと21日付G1サイトなどが報じた。
 全国大会には、サンパウロ州17地区、リオデジャネイロ州4地区、ミナス・ジェライス州4地区、バイア州2地区の計29の地区大会を勝ち抜いてきたストリート詩人が出場し、全国一を競った。
 ミナス州出身の父とバイア州出身の母を持ち、サンパウロ市最南部ジャルジン・ソウザで生まれたルス・リベイロ氏は、公立校で学んだ後、舞台女優と詩人という二足のわらじを履くようになった。学校では人種差別を受け、つまはじきにされ続けたため、偏見などに打ち勝つために、日々の経験や日常の思いを書き連ねては燃やすという毎日を繰り返したという。
 2011年に他の地区を訪れ始めた時、自分と同様に、犯罪などが多発し、麻薬なども身近な存在である郊外在住者達が毎日の様子を口頭で語って表現している事を知った。従来の文学作品とは違う郊外生活者の現実を口頭で表現する事に魅せられた彼女は、サンパウロ市東部のギリェルミナ区での競技会などに参加し始めた。
 最初はロマンスも織り交ぜていた作風は、女性運動家達と触れ合う内に変化し、社会格差や性による格差なども読み込むようになってからは、更に多くの競技会で入賞するようになった。
 彼女は2013年に「永遠の継続」と題する本も出版。毎月最後の月曜日は、別のストリート詩人(男性)と共にサンパウロ市南部サントアマロのバスターミナルで競技会も開催している。
 全国大会には、女性運動家の視点から、性解放や人種格差といったテーマも盛り込んだ作品で臨んで優勝を遂げた。この種の競技会で女性が優勝したのは初めてだ。「黒人、小太りの女性、郊外在住といった諸条件が自分の中の競争心をかき立てる」と言う彼女は、今回の勝利により、2017年にフランスで開かれる世界大会への切符も手に入れた。