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忘年会シーズンの悲喜こもごも

 11月末~12月は忘年会を行う日系団体が多い。規模や参加者も個人レベルに近いものから、日本人会のように地域の人が集うものなど様々だ▼家に近い日本人会でも週末に忘年会があり、持ち寄りの会食後、カラオケやビデオケでの紅白歌合戦となった。紅白だが審査員はなく、歌い手が箱の中からボンボンを取り、包み紙の色で赤か白かを選ぶというやり方で白組勝利となった▼歌の上手、下手ではなく、参加する事や交流を楽しむ事が目的の歌合戦は、歌は好きだが、高齢で足が悪く、舞台に上がれないという婦人で締めくくられた。直前に歌った娘さんにマイクを届けてくれと頼んだ司会者は、カラオケ教師で審査員の資格も持っている。だから、本人がトリを務めても誰も文句は言わないはずだが、会の長老の一人である婦人に花を持たせる配慮に心が温まった▼一方、19日、トルコでは美術館でのロシア大使射殺事件、ドイツではクリスマスマーケットにトラックが侵入する無差別殺人事件が起きた。難民擁護派のドイツのメルケル首相の政治生命を左右しかねない事件後、イスラムステートが「兵士が作戦を実行」と犯行声明を出したが、自分達に都合の悪い相手なら、無防備な市民の命さえ奪う姿勢は受け入れ難い▼人間がエゴの塊である限り、争いや自己顕示などの現象は絶えないだろうが、本能を知性でカバーし、人間として生きようとする時、他者や違いを尊重する姿勢も生まれてくるはずだ。今年の忘年会シーズンは特に、単なる飲み会等に終わらず、平和を作り出すために人として生まれたキリストの誕生を祝う時期である事を思い起こす時となればと願わされる。(み)