21日に米国法務省が、ラヴァ・ジャット作戦の最大級の汚職企業である建設大手オデブレヒト社が、ブラジル含め計12カ国に対し、約10億ドルの賄賂をばらまいていたとの情報を明らかにした。22日付現地紙が報じている。
米国法務省の報告によると、オデブレヒト社は5億9900万ドル(現行為替で19億レアル)をブラジルの政治家や公務員に払っていたという。
この内の3億4900万ドルはオデブレヒトが払っていたが、残る2億5千万ドルは、同社がペトロブラス社と共同出資している石油化学系の子会社ブラスケンが払っていたという。フォーリャ紙によると、オデブレヒトはブラスケンを支払の隠蔽工作のために使っていたという。
また、オデブレヒトが国外でも、11カ国で4億3900万レアル(14億レアル)の贈賄を行っていたことも明らかにされた。支払い先は、中南米やポルトガル語圏のアフリカ諸国のアンゴラ、アルゼンチン、コロンビア、ドミニカ、エクアドル、グアテマラ、モザンビーク、パナマ、ペルー、ベネズエラ、メキシコだ。
諸外国への支払額トップはベネズエラの9800万ドルで、ドミニカ、パナマ、アンゴラ、アルゼンチンが続く。また、ドミニカで2001~14年の賄賂が発生した以外は皆、労働者党(PT)政権の2003~16年に行われたものだ。
この約10億ドルの賄賂のばらまきにより、オデブレヒトは現行為替で最低120億レアル分の恩恵を受けたという。
これらの情報は、オデブレヒトとブラスケン両社が、米国やスイスにも情報を提供し、罰金を払うことを前提にブラジル検察庁との間で行った報奨付供述(司法取引)に基づくもので、21日にブラジルと米国、スイスの当局が合意を発表、両社が合意書に署名後にその内容が発表された。中には、ブラジルでは未公開の情報も含まれている。
今回の合意により、オデブレヒトは向こう23年間で69億レアルの罰金(損害賠償金)を払わなければならない。そのうち、31億レアルはブラスケンが支払う。返還先は約80%の53億レアルがブラジルで、米国とスイスにも約10%ずつ支払われることになる。
また、米国法務省は、実名は伏せたものの、ブラジル内では14人の人物が賄賂を受け取ったという情報も発表した。これら14人については、「連邦政府の大物」「大臣2人」「公社職員」「ペトロブラスの理事」「立法府の大物」というヒントがつけられていた。
中南米やアフリカでのオデブレヒトの事業展開と言えば、ルーラ元大統領がマルセロ・オデブレヒト前社長と共に旅行をしていたことがかねてから報じられてきた。先日もオデブレヒトの報奨付供述で、ルーラ研究所の土地代などを同社が払った疑いが報じられたばかりだ。
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