ホーム | ビジネスニュース | ブラジル連邦政府=積み立て退職金引き出しを解禁=300億レアルの経済効果期待=労働法改正案も同時公表

ブラジル連邦政府=積み立て退職金引き出しを解禁=300億レアルの経済効果期待=労働法改正案も同時公表

テメル大統領(右)(Marcos Corrêa/PR)

テメル大統領(右)(Marcos Corrêa/PR)

 テメル大統領(民主運動党・PMDB)は22日、以前の職場で積み立てていたが、自己都合退職などの理由で引き出せないままになっている勤続期間保障基金(FGTS)を労働者が自由に引き出すことを認めた。さらに、労働法改正案を公表したと、22日付現地紙が報じた。
 自己都合退職の場合、FGTSは3年間引き出せなかったが、今回の措置で、2015年12月31日までの積立金は自由に引き出せるようになる。引き出し可能になる具体的な日程は、2月以降に公表される予定。
 政府はこれで300億レアル規模の経済効果があるとしている。
 労働法改正案の中で主眼が置かれているのは労働時間に関してで、現行法の「1日の就業時間は8時間まで、1週間の就業時間は44時間まで」という条項を、「1日の就業時間は最大12時間(8時間プラス残業4時間)まで、1週間の就業時間は40時間プラス残業4時間の48時間を上限とする」と変更する意向だ。1カ月が5週ある月の就業時間は220時間が上限となる。
 この案を漠然としていて、今の労働法、労働環境にどれほどの影響を与えるか不明だとの印象を持っている。
 労働法変更は、社外勤務や労働者の生産性に応じた賃金の支払いについての労使交渉の余地を認める意向だ。また、従業員全体との合意の上で、1年につき1カ月の有給休暇を3分割して取得する、昼食時間を現行の1~2時間から最低30分まで短縮する、過残業分は現金支給などの変更も提案されている。
 労組から批判を受けたのは、「1日の就業時間を12時間までとする」項目と、「雇用者側が、労組代表者の選出過程に参加する可能性を認める」項目だった。
 一般労組(UGT)のリカルド・パター会長は、「労働法改正は慌ててやってはいけない。議論を深めてないのに発表するのは誤り」と批判したが、フォルサ・シンジカルは書面で「政府案は良識にもとづいている」と評価した。同案は2月に議会に提出され、緊急課題として審議される。