【既報関連】ブラジルのテメル大統領(民主運動党・PMDB)は22日に記者たちを招いて行った朝食会の中で、クレジット取引の利率引き下げを検討していることを発表した。22、23日付現地紙が報じている。これは特に、ブラジルのクレジット取引の中で最も利率の高い、クレジット繰り越し金利引き下げに焦点を当てたものだ。
繰り越し金利は、クレジットカードの利用者が全額を払い切れず、最低額(15%)のみを払った場合の残額にかかる利率で、最初から分割払いとするより、ずっと高い利息を払う必要が生じる。テメル大統領はこの繰り越し金利の適用期間を短縮し、高額なクレジット債務に苦しむ債務者は、低金利で債務を計算しなおし、負担を軽減させる意向だ。
12月9日付現地サイトでは、今年11月末現在、ブラジル国内には5850万人の債務不履行者がいると報じられている。
同件については、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)との昼食後、エンリケ・メイレレス財相が改めて会見を行い、繰り越し金利の引き下げを来年3月末までに実現させる意向であることを表明した。
同財相によると、「中銀と各行の間には経済回復のためには銀行側の努力も必要との共通認識があり、3月末以降の繰り越し金利は現状の半分になる」という。具体的な内容や移行課程は、来年1月のブラジル国家通貨審議会(CMN)定例会議で決まる見込みだ。
会見に同席したブラジルクレジット会社協会(Abecs)会長のマルセロ・ノローニャ氏によると、新システムでは、クレジット負債の全額を払えなかった場合の繰り越し金利適用期間は30日のみとなり、その時点で残っている債務は自動的に、繰り越し金利より低い金利で最大24カ月間の分割払いに振り替えられる。同氏によると、支払い方式変更に関わるシステムの標準化は中銀が担当する。
現在の繰り越し金利は、16%弱の月利に複利がついて、年利482・1%に達している。一方、最初から分割で返済する場合は月利8・1%、年利も156・1%だ。連邦政府は、繰り越し金利の適用期間短縮とより低利な分割返済により、債務者の負担を現行の半分程度に軽減する事を望んでいる。
中銀は詳細の発表を避け、広報部を通して、繰り越し金利引き下げ案は中銀内で調整後にCMNに送られることと、各銀行はCMNが決めた詳細に従うことになる旨を伝えた。
中銀関係者は21日のCMN定期会合にも参加していたが、繰り越し金利引き下げに関する具体的な進展はなかった。次回のCMNの定期会合は来年1月26日に開催される予定だが、臨時会議が召集される可能性もある。