ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事は26日、水不足対策として、貯水池の取水口より低い位置にあり、通常は利用できない予備の水(未開の水域)の水を吸い上げるために設置したポンプを、干ばつに悩む北東部のパライバ州とペルナンブッコ州での水不足解消のために貸し出す契約を締結した。
取水用の長い管がついた、水上に浮かべて使える大型ポンプは、13~14年に大サンパウロ都市圏を襲った水不足の際に大活躍した。1千万人以上に水を供給していた同州最大水系のカンタレイラ水系の貯水率が5%になった14年5月15日以降、同水系では、未開水域の水をくみ出すポンプを作動させ、飲用水の枯渇を防いだ。
その後もサンパウロ州では干ばつが続き、同水系の貯水率は実質マイナスとなったため、未開の水域も含んだ貯水量は、通常の貯水量で見てマイナス29・2%分まで使いきり、「その内、未開の水域の水も使い果たしてしまうのではないか」と恐れられていた。
だが、15年2月に、同月としては20年ぶりの大雨となる300ミリの降水量を記録したあたりから、降水が復活。水位もみるみるうちに回復していき、15年の大晦日直前(12月30日)に、貯水率はプラスマイナス0%に戻った。
その後も同水系は、未開水域を再び利用する必要に迫られることはなく過ぎ、16年12月26日現在の貯水率は46%まで回復。未開水域分も含めた貯水率は75%に達している。
今回の北東部へのポンプの貸し出しは、この際のカンタレイラでの水危機対策が評価されてのものだが、未開水域の水の使用量が増え続けていた間、アウキミン州知事がさんざん批判されていたことを覚えているサンパウロ州民としては、やや不思議な感覚も覚える。
北東部は元々、降水量が少ない地域があるが、ここ数年は100年に1度といわれるほど深刻な干ばつが続いていた。今年はラ・ニーニャ現象の恩恵で、干ばつの危機は比較的少ないといわれていたが、それでもそれがあてはまらない州は存在した。そこで、サンパウロ州で成功した方法論にあやかって危機を脱出したいところだろう。
また、大型ポンプ(4基で1組)の貸し出しは、2018年に大統領選出馬を狙うことが噂されているアウキミン氏にとっても絶好のアピールだ。同氏所属の民主社会党(PSDB)は都会の富裕層には人気があるが、貧民の多い北東部では人気がない(支持率が低い)政党だが、そのイメージを払拭する良い機会でもある。
このポンプ1基は毎秒2立方メートル分の水をくみ上げることができ、4基揃えば毎秒60万人の市民への水の供給が可能となるという。ポンプ本体はサンフランシスコ川疎水計画の東側部分にあるペルナンブッコ州フロレスタに運ばれ、ブラウナス貯水池に設置される。ポンプでくみ出された水は同市内のマンダンテス貯水池を経て、パライバ州モンテイロ市(人口約3万人)などに供給される。(26日付フォトス・プブリカスより)
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