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若々しく白寿を迎える秘訣聞く=ご長寿3人の健康法はこれ=食べ過ぎず、体も頭も運動

 ブラジルでも「リニャッサ(アマ、ヌメゴマ)やキヌアなどの雑穀」「グルテンフリー(小麦・ライ麦などの穀物に含まれるたんぱく質)」と書かれた菓子やパンなどの商品等が増え、「健康的な生活習慣」といった報道が多くなった。老若男女に関わらず「健康」「長生き」に対する注目度が高くなってきている。昨年の11月30日に在聖総領事公邸で行われた『平成28年度百歳以上高齢者表彰伝達式』に出席して、元気良く賞状を受け取った3人に健康の秘訣を聞いた。


程良い食事、運動で元気

根っからのスポーツマンの高木さん(99歳)

根っからのスポーツマンの高木さん(99歳)

 同式典中、中前隆博在聖総領事に名前を呼ばれ、「はい!」と元気良く立ち上がり前に立ったのは高木廣太郎さん(99、愛媛県)。総領事が賞状を読み上げる中「愛媛県」、「はい、はい」とハキハキ即答して来場者を楽しませた。
 高木さんは16歳のときに来伯。サンパウロ州リベロン・プレット市のカフェザル(コーヒー耕地)で働いた後、バウルー市に引越して農場で棉作りをした。「作っては売って、作っては売って…。働くばかりで大変でした」と当時を振り返った。その後、サンパウロ市に引っ越して洗濯屋を立ち上げた。
「じっとしていられないんです。休みの日でも家で掃除を始めたりしてしまう。洗濯屋も性に合っていた」と笑う。
 高木さんの健康の秘訣を尋ねると、「運動がすきなんです」ときっぱり。「96歳までサンパウロ日系ベテラーノ陸上協会(ANASP)の選手だった」と驚きの返答をした。
 高木さんは70歳からANASPに入り、以来26年間100~400メートル走、幅跳びなどありとあらゆる陸上競技を楽しんだ。
「陸上をやっていたおかげで今日まで元気にやってこれました」とはにかむ。陸上選手として活躍した期間のメダル獲得数は800個。しかもほとんど金メダルだそうだ。
 ANASPの選手は各自で自由に練習する事が多い。高木さんは訓練のため、毎週日曜日午前8時から正午まで、イビラプエラ公園で走り回っていたという。
 一番記憶に残っている競争について聞くと、陸上を辞める前に一つ年下の友人と走った80メートル走とのこと。最後の競争で見事勝利を収めANASPを勇退した。
 そんな高木さんに生活上気をつけている点を尋ねると「程良い食事と運動。私は酒、煙草はやったことがない」と語り、「野菜と果物が好きです。あとはやっぱり、陸上!」と微笑んだ。


頭の体操、踊りで健康

「お喋りも大好き」と微笑む高橋さん(99歳)

「お喋りも大好き」と微笑む高橋さん(99歳)

「1月3日に100歳になります」と教えてくれたのは、高橋八千代さん(99、島根県)。
 昨年の島根県人会館創立60周年の祝賀会では、ひょっとこのお面を付けドンパン節を披露し、来場者から歓声と拍手を贈られた大の踊り好き。
「30年間習っていたけれど、先生の体調不良で最近は出来ていない」と語った。先生より、白寿の生徒の方が元気なようだ。
 15歳で来伯後、16歳の時に結婚した。しかしその2年後に夫が死去。25歳のときに現在の夫、高橋さんと再婚。子供5人を抱え、毎日労働に励んだ。
「働いてばかりだったし、日付や自分が何歳か忘れることもありました」と苦笑。畑仕事だけでなく、布巾やアクセサリーを手作りして売っていたこともあるそう。
 そんな高橋さんが健康に暮らす秘訣は、「ふつうに食べてふつうに生活」だそう。詳細を聞くと「毎朝7時に起床、朝食を食べて自作の体操をする」と話した。自作の体操はビデオを見たり、習っていた踊りの動きから編み出したものだそう。
 また、クロスワードパズルを解いたり、新聞を読むのも趣味。「頭の体操もしてるからね、はっきり喋るでしょう」と豪快に笑った。


毎日のうがい、自作の薬も

独自の薬レシピを教えてくれた浦田さん(100歳)

独自の薬レシピを教えてくれた浦田さん(100歳)

 浦田幸子さん(100、北海道)は16歳でコーヒー農場に入り、叔母の病気により半年後にサンパウロ市に引っ越した。「それから健康の大切さを実感した」と話す浦田さんは、「自分で一生懸命サウーデを作ることが大事!」と強調する。
 浦田さんが毎日欠かさずやっていることは、ずばり「うがい。とても簡単なことだからこそ、大事に続けるべき」と真剣な眼差しで答えた。
 浦田さんのうがい法は「コップ一杯の水に塩を一つまみ、鼻から入れて口から出す」とのこと。「それで健康! 病原菌も蓄膿もなくなる」。
 実は、自作の薬も飲んでいる。レシピはピンガ1リットルに、すり潰した少しのニンニク、はちみつを入れて1か月半置く。風邪を引いた際や予防の為にコピーニョに人差し指の一関節分(2センチほど)入れて一杯飲むそう。
 また、早寝早起きも実践しているそう。午前4~5時に起きて乾布摩擦で体を温めた後、バナナ一本の朝食をとる。20分間の体操も毎日欠かさない。
「新聞も本も読むから認知症にもならない」と微笑む浦田さん。90歳まで、床に手をぺったり付けられるほど体が柔らかかったそうだ。
「ブラジルに来てとても苦労したが、今は家族が世話をしてくれる。可愛い孫もいる。今まで病気もなく生きた」と振り返り、「だから今、とても幸せよ」と微笑んだ。