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ジャパン・ハウス=いよいよ5月にオープン=1月に施設が竣工予定=3月には事業詳細を発表

JHの完成予定図

JHの完成予定図

 日本の「正しい姿」を発信し、親日派を育むことを目的とした日本国外を拠点にした広報文化施設「ジャパン・ハウス」(以後JH、パウリスタ大通り52番)が、いよいよ今年5月にオープンする。県連日本祭りでブースを出展したものの、事業全体については未だベールに包まれたまま。日系社会からも高い関心が寄せられるなか、どんな考え方の施設となりそうかを、今一度振り返ってみたい。

 外務省の肝いりプロジェクトであるJHは、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの世界3都市に拠点が開設される。驚きと魅力に満ちた「真の日本」を体験できる場所を作り上げることが目的だという。
 例えば、施設の天井や扉、壁の一部に使用される内装材だ。設計デザインを監修する国際的な建築家・隈研吾さんからの要請で、越後門出和紙職人の小林康雄さんが目指したのは、「和紙と金属の融合」という世界初の試み。伝統のなかに革新を生み出す日本ならではの技術といえる。
 伝えるべき基本的価値観としては「平和と協力」「環境」「品質と精密さ」「おもてなし」で、「日本文化の真髄を形にしてゆく」と意気込む。日系人の多いサンパウロ市を意識し、みなの共感を呼ぶような仕掛けも予定されているという。
 サンパウロJHの独自企画として、沖縄伝統の技術であるバナナの皮の繊維を使った芭蕉布や、カシューナッツの樹液から漆を作るなどの「日伯技術交流の推進」をするものもある。
 世界3都市のJHを巡回する企画展、各業界の第一線で活躍する人物を招いた講演やワークショップなどの大型企画がある。日本紹介の優れた書籍をはじめ、素晴らしい映像や写真、各種資料が豊富に閲覧できる「マルチメディアルーム」などの探求空間が設けられる。
 さらに、旬の懐石料理を手頃な価格で提供するレストランや、日本茶を美味しく味わえるカフェテリアなど、五感を通じて文化に触れることができ、日本企業と各地のビジネス関係者が交流する場も作られる。物販を行う「ポップアップストア」は、ブラジル市場への投入を検討する商品の試験場となりそうだ。
 サンパウロJHは、これまで日本の伝統文化を発信してきた各日系団体との協力も積極的に検討し、具体的な協力のあり方を時間をかけて模索していく。
 日本の多様な魅力を発信することを一つの柱としているが、「地域の魅力発信であれば、県人会と協力して共同事業を行うこともできる」と中前隆博総領事は語る。日系社会と上手く連携し、日本への深い理解と共感の裾野を、ブラジルでさらに広げて欲しいところだ。
 計画通りに工事は進んでおり、1月を目処に竣工予定。今はまだ秘密のベールに包まれているが、来年の3月頃にはプレオープンとして事業の全体像が明らかになりそうだ。
 JHの施設は、ブラデスコ銀行所有ビルの3階部分までを貸借し、総面積は2496平方メートル。表玄関には「地獄組み」という日本独自の技術を応用して檜を格子状に組み上げたものと、煉瓦に穴を開けて風通しを良くするレシフェの技術「コボゴ」をあわせ、日伯文化の融合が表現され、奇抜で思わず入りたくなるような外観だ。

建設を視察した関係者ら

建設を視察した関係者ら

 中南米の経済の中心地であり、芸術・文化の発信地であるサンパウロ。なかでも産官学が集中するパウリスタ大通りという立地を活かし、ビジネスパーソンなど感度の高いブラジル人に新たな気づきを与え、そこから情報が拡散していくことを狙って、同地に建設された。
 地上階には、竜安寺の中庭をイメージした「外土間」、エントランスホールや多目的ホールが設置される。建具には、小林康生さんが指導し製作した襖によって、イベントの規模によって自由自在に仕切られる。
 1階には、約100人収容可能なセミナー室を設置。新年には国際交流基金も転入し、オール・ジャパンで協働してゆく。同基金による日本語セミナーなどに利用される。2階には多目的ホールのほか、レストランが入る。テラスから外に出てパウリスタ大通りを一望できるという。
 テメル大統領が現職として11年振りに日本を公式訪問、安倍首相がリオ五輪を訪問して東京へ引継がれるなど、実り多い年となった昨年。新年はJHを通じて、さらに両国の友好関係を深めていきたいところだ。