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ブラジル北部アマゾナス州マナウス刑務所暴動=政府が治安維持計画を発表=混乱はマナウス市内に波及

アレシャンドレ・デ・モラエス法相(Marcelo Camargo/Agência Brasília)

アレシャンドレ・デ・モラエス法相(Marcelo Camargo/Agência Brasília)

 【既報関連】新年早々に60人の死者を出し、ブラジルを震撼させたアマゾナス州都マナウス市での刑務所暴動発生から3日経った1月5日、ミシェル・テメル大統領がようやく、関係閣僚会議を招集したと6日付現地紙やサイトが報じた。同大統領はその後、五つの連邦刑務所の新設計画を発表したが、それは1040人分で、現在不足している25万300人分の収容枠の0・4%にしかならない。

 アレシャンドレ・デ・モラエス法相も関係閣僚会議の後、国家治安維持計画(PNS)の概要を記者団に説明した。
 同法相は「連邦政府、地方自治体が一致協力していく事が重要」と述べ、故意の殺人や女性を標的にした殺人件数を減らす、薬物、銃器の密売撲滅、刑務所の近代化の三つが主目的だとした。
 PNSの詳細説明は6日に行われ、同日未明にロライマ州の刑務所で起きた少なくとも33人の囚人が殺されるという事件などを例に引きながら、州都での殺人や刑務所の過剰収容を18年に15%減らすなどの目標と共に、13に及ぶ重点項目が発表された。
 1「検察と警察、司法が連携し、事前防止、調査、早期裁判を目指す殺人特別対策チーム設立」
 2「各種警察や各州の捜査機関を束ねる諜報センター設立」
 3「家庭内暴力の被害が疑われる女性を定期的に見回るパトロール隊の設立」
 4「事前防止活動への注力」
 5「殺人現場を地図に表記して、情報を一元管理」
 6「刑務所収監時の犯罪者の分類」(軽犯罪で捕まった容疑者が重犯罪者や犯罪組織構成員と同じ場所に入れられ、ギャング化するのを避け、裁判の迅速化を図る)
 7「各州の刑務所の空き収容人員のデータをオンライン共有」
 8「刑務所の新設」―前日のテメル大統領の発言同様、刑務所新設計画も発表された。17年予算からは新設に2億レアル、既存の各州刑務所の監視システムに2億3千万レアルを割くと約束。刑務所建設事業者選定の入札は即刻行う意向というが、完成、引渡しの期限は設定されていない。
 9「薬物、武器の流入阻止と国境警備の強化」
 10「監視カメラやレーダー設置」
 11「連邦政府のもつ、DNAデータの拡大と積極利用」
 12「州間、都市間、警察、保安機関の間のコミュニケーション、情報共有をデジタル化」
 13「国家治安維持部隊(FN)と連邦道路警察(PRF)の強化」
 マナウス市では事件で脱走した184人の囚人中、63人しか再逮捕されておらず、4日から6日朝にかけて市内で12人が殺されるなど、混乱が続いている。