1月1~2日のアマゾナス州マナウスでの囚人暴動の衝撃も覚めやらぬ6日未明、同じブラジル北部ロライマ州の刑務所でも囚人30人以上が殺される事件が起きた。同州当局は、サンパウロ州の犯罪集団、州都第一コマンド(PCC)所属の囚人による犯行と見ている。6日付G1サイトなどが報じている。
市民法務局(Sejuc)の発表によると、事件の現場となったのはロライマ州最大のモンテ・クリスト農業刑務所で、殺戮が起きた時間は午前2時30分(ブラジリア時間で同4時30分)頃で、少なくとも33人の囚人が殺されたという。
Sejucによると、午前8時過ぎに法医学研究所職員らが現場に入っており、午前11時現在も特別機動隊(Bope)と軍警が所内の捜査や警備などにあたっている。
33人の殺害は暴動に伴うものではなく、同刑務所に集められているPCCの囚人たちによる犯行と見られている。現場では火器は見つかっていないが、遺体は斬首、切断などで傷めつけられた状態だという。
同州ではPCCとコマンド・ヴェルメーリョ(CV)が勢力争いを展開しており、同刑務所内では昨年10月にも、両集団の対立で囚人10人が死亡する事件が起きた。昨年1年間に同州の刑務所で殺された囚人数は総計18人に上る。
また、アマゾナス州マナウスの4刑務所で1~2日に起きた、計60人が殺され、184人が脱走した事件も、CVと同盟関係にある犯罪集団の「ファミリア・ド・ノルテ」とPCCとの抗争が発端と見られている。
PCCとCVの対立は、昨年6月に休戦状態が破られて以来、激化の一途を辿っており、昨年10月には、ロライマ、ロンドニア両州の刑務所で計18人の死者を出している。
アマゾナス州保安局は1~2日の事件を受け、3日にロライマ、ロンドニアの両州に対し、囚人同志の抗争が起こる可能性があると注意を促していた。アマゾナスでの脱走犯の一部は、両州に向かった可能性もある。
ただし、アレッシャンドレ・デ・モラエス法相は6日、ロライマ同州では各犯罪集団の囚人は異なった刑務所に収監しており、PCCの報復よりも内部抗争の可能性が高いとの見解を示した。
なお、モンテ・クリスト刑務所では定員の倍以上にあたる1400人が収監されていたといい、ブラジルの刑務所の管理状況の劣悪さも改めて浮き彫りとなっている。
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