2月はブラジルにとっては非常に大事な月だ。それはカーニバルが行われる月だからだ。リオのカーニバルは世界中の誰もが知っているが、ブラジルでは全国各地で、それぞれの自治体の特色をにじませたカーニバルが行われている。
だが、経済危機が叫ばれる昨今、どこの市も財政が厳しく、従来と同じ形でカーニバルを開催できずに規模を縮小したり、開催を見送ったりするケースが出てくる可能性が強い。
12日に明らかになったニュースは、ブラジル国内の財政危機の深刻さをあらためて実感させる厳しさがある。11日、北東部パラー州の州都ベレンで、今年はエスコーラ・デ・サンバによる公式パレードを行わないと発表されたのだ。
この日、ベレンでは、市長と各エスコーラの代表たちが集まって話し合いが行われた。同市には、エスコーラ・デ・サンバとブロッコと呼ばれるサンバ集団が全部で40以上あるが、市長は、今年のカーニバルの助成金は100万レアルしか払えないという。同市は昨年、350万レアルの助成金を払っていた。
パラー州ベレンといえば、140万人の人口を抱える都市で、北東部では、バイア州サルバドールやペルナンブッコ州レシフェ、セアラー州フォルタレーザなどにつぐ代表的な都市として数えられている。
しかも、音楽文化もかなりさかんなところで、同市のクラブ・ミュージックのシーンから登場し、全国的な人気歌手となった歌姫、ガビ・アマラントスは「パラーのビヨンセ」の異名をとったほどだ。
しかも今年は、ベレンの市制開始からちょうど400周年の記念すべき年。こんなにめでたい年なのに、カーニバルの最大の瞬間である公式パレードが行われないというのはショッキングなできごとだ。
同市では12日も、市役所やエスコーラ、サンバ・グループの代表が集まり、「せめて街中で、非公式のパレードを行うことは可能か否か」を検討するという。
ベレンのような事態が全国の大都市で頻発するようなことが起きないよう願いたいが、景気後退や市の財政悪化の影響は少なくなさそうだ。(12日付G1サイトより)