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《ブラジル》 労働者党・PT=上下両院議長選めぐり内部で対立=役職優先か過去の怨恨か=ジウマ前大統領罷免の遺恨も強く

リンドベルグ・ファリアス氏(Agencia Brasil)

リンドベルグ・ファリアス氏(Agencia Brasil)

 2月2日に行なわれる上下両院の議長選で、どの候補を支持するかをめぐって、労働者党(PT)の意見が割れていると、12日付フォーリャ紙が報じている。
 昨年のジウマ大統領の罷免で与党の座を追われたPTだが、下院で57人、上院で10人の連邦議員がいる同党としては、議会内での影響力を失いたくない気持ちが強い。どの候補を支持して議会内の要職を得るかということに関し、意見が割れている。
 下院議長選に関していえば、昨年7月の同選挙でPTが支持した現職のロドリゴ・マイア議長(民主党・DEM)か、ジョヴァイール・アランテス(ブラジル労働党・PTB)を推す勢力が、同じ左翼で長年の同盟党の民主労働党(PDT)のアンドレ・フィゲイレード氏のそれを上回っている状態だという。
 PTの下院リーダー、カルロス・ザラッティーニ氏は「投票日に野党候補としてきれいごとを言っても意味がない。あくまでも役職を獲得しなくては」と語り、前述の候補者での第二書記の座を狙いたいとしている。
 だが、とりわけアランテス氏に関し、「ジウマの罷免の下院での審議の際に報告官をつとめたような人物をどうして支持できようか。そんなに威厳やモラルに欠けるようなことを下院リーダーたる人が言い出すのはいかがなものか」と同党の組織委員長カルロス・アラベ氏は批判している。
 また上院議長選では、ルーラ政権の際に通信相もつとめた経験のあるエウニシオ・オリヴェイラ上議(民主運動党・PMDB)を、PTは支持したい意向だ。それはエウニシオ氏がかねてから親PT派で、すでにPTの上議に第一書記の座を保証する約束もしているためだ。
 15年の下院議長選の際にアルリンド・キナリア下議(PT)を候補に擁立してエドゥアルド・クーニャ氏(PMDB、現在、議員罷免)に敗れた際に、ジウマ氏と対立関係にあったクーニャ氏が下院要職にPT議員を選ばなかった。それをPT側は苦い思い出としており、繰り返したくないという気持ちが強い。
 だが、上院の中には、ジウマ罷免反対の急先鋒として知られたリンドベルグ・ファリアス氏やグレイシ・ホフマン氏をはじめ、反対する勢力も強い。「クーデター一派であるPMDBの、よりによって、労働者の権利を踏みにじる憲法改正案(PEC)55号の報告官をつとめたような人物をどうして推せようか」とリンドベルグ氏は憤っているという。