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大耳小耳

 俳誌『朝蔭』446号が12月に刊行された。《大君の退位問わるる菊館》(林とみ代)は「祖国の今」と言う重みを秘めた句だ。《きれい好きの母を想いて墓洗う》《蛍舞ひ母が近くに居る如く》(伊藤きみ子)の連作には惹きこまれる何かが感じる。《妻看取り窓に見上げる春の星》(青木駿浪)は状景が目に浮かぶ。《教会の尖塔あかねに黒母の日》(松原本信)は「アパレシーダの祝日」を詠んだブラジルらしい作品。《師の棺重さ忘れず年腹忌》《晩節を大事に生きん梅酒飲む》(星野瞳)は、あと一歩で百寿に到達という深い心境を詠んだもの。