ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 《ブラジル》 刑務所で大量殺戮再び=今度はリオ・グランデ・ド・ノルテ州で26人死亡=今年に入ってブラジル全土で3度目、大半は斬首=他の州でも脱獄事件頻発

《ブラジル》 刑務所で大量殺戮再び=今度はリオ・グランデ・ド・ノルテ州で26人死亡=今年に入ってブラジル全土で3度目、大半は斬首=他の州でも脱獄事件頻発

15日の会見で暴動の首謀者6人を割りだしたと発表するリオ・グランデ・ド・ノルテ州治安当局者達(Divulgação/Assecom RN)

15日の会見で暴動の首謀者6人を割りだしたと発表するリオ・グランデ・ド・ノルテ州治安当局者達(Divulgação/Assecom RN)

 【既報関連】リオ・グランデ・ド・ノルテ(北大河)州州都ナタールから25キロのニジア・フロレスタ市にある州立アルカスス刑務所で、14日午後5時ごろに囚人たちの暴動が発生し、大量虐殺も起きた。暴動は15日朝になってやっと収束し、26人が殺されたと同州保安局が発表したと、16日付現地各紙が報じている。

 この事件は、67人が死亡したアマゾナス州、33人が死亡したロライマ州に続き、今年に入って3件目の大規模な暴動となった。刑務所での死者数は、他州も合わせると134人に達した。
 2017年が明けてわずか15日で達した数字を、2016年を通して発生した刑務所内の死者数372人(392人と報じるニュースサイトも)と比較すると、事態の深刻さがより際立つ。
 同州最大の刑務所での暴動は、第5棟にいた、サンパウロ州に本拠を置く犯罪集団の州都第一コマンド(PCC)所属の囚人が、武器庫に侵入後、PCC離脱者が興した新興ギャングで、互いに覇権を争っている犯罪シンジケート所属の囚人がいる第4棟を襲った事で発生した。
 PCCの囚人が電源を切った事もあり、当局は夜間に刑務所内に踏み込む事を断念。機動隊が所内に踏み込んだのは15日朝6時半で、暴動は午前8時前に収束した。死者は全て犯罪シンジケートの囚人だった。また、負傷者18人は近隣の市の病院に収容された。
 大半の死体は頭部、一部はその他の器官も切り落とされ、三つの死体は全体、または部分的に炭化していた。身元確認は16日朝から始められたが、全ての遺体の身元が判明するには30日程かかると見られている。
 PCC所属の囚人6人が、この暴動、虐殺事件の首謀者として特定された。6人は隔離の上、16日以降、他の刑務所に輸送される。
 事件後に責任を問われたワルヴェル・ヴィルグリーノ同州法務市民局長は、「州だけで囚人の死を避けるのは非常に困難だ。刑務所は囚人たちを抑留する場所であり、彼らが殺しあったり、脱走したり、暴動を起こしたりしないと断言できる者はいない。(暴動に参加した)囚人たちの凶暴さは桁違いだ。前もって動かない限り、防げない」と述べた。
 アレシャンドレ・デ・モラエス法相は15日、暴動で死者が出た事を「遺憾に思う」との声明を発表した。
 13~15日にかけてバイーア州、ミナス州、パラナ州で脱獄事件が頻発した。バイーア州では2カ所の刑務所で計38人、ミナス州では10人、パラナ州では28人が脱獄した。パラナ州では、脱獄の際の警官との銃撃戦で囚人2人が死亡した。
 また、16日未明には北大河州都ナタールの刑務所で囚人たちが壁を壊して脱走を試みたが、警察が未然に食い止めた。脱走者、負傷者、死人は確認されていない。