国への負債返済や公務員への給料の支払いができない事態が生じ、財政非常事態宣言を行った市が全国で62市ある。17日付現地紙が報じている。
州レベルでの破産宣告は、昨年6月のリオを皮切りにリオ・グランデ・ド・スール州、ミナス・ジェライス州と続いたが、財政難に陥っていたのは市も同様だった。
全国市町村連合(CNM)によると、全国では昨年以降、62市が破産宣告を行っており、その内の32市は今月に入ってから宣言したという。専門家は、全国5600市の内、財政危機に陥っている市は、もっと多いと見ている。
サンパウロ州で破産宣告を行った市は、カタンドゥーヴァやオルトランジア、クルゼイロ、アメリカーナだ。人口12万人のカタンドゥーヴァでは、前年度までの事業やサービスの未払い金だけで6030万レアルの負債があるという。
CNMのパウロ・ジウルコスキー会長によると、ブラジルでは、国や州の援助に頼ることが当たり前の市が多い上、税収額以上の金は使ってはならないという財政責任法(LRF)の原則を守らないのが常だという。
同会長によれば、市が税収不足や放漫財政で財政危機に陥り、住民が保健や教育といった基本的なサービスさえ受けられなくなるのを防ぐため、国が救済措置を採らざるを得なくなるという。
財政危機に陥った市が62を上回ることは、社会保障費の納入が滞り、今年の都市参加基金(FPM)を差し押さえられている市が、600を超えていることでも明らかだ。CNMは、就任したばかりの市長たちが、破産宣告を問題解決の手段として使う事態になることを懸念している。
CNMによると、市の財政危機緩和策として他に考えられるのはレパトリアソン法の罰金の分配金だが、50億レアル強を各市で分け合うわけだから、各市が受け取る額はたかが知れている。
CNMは破産宣告をした市が、職員給与引き下げや入札を行わずに事業契約を結ぶといった違法行動をとることも案じているが、破産宣告は議会が承認した時点で効力を発するため、宣告=財政責任法不問ではない。
財政危機に陥った市は州への依存度が高くなるが、財政難にあえぐ州救済のために連邦政府が提案し、議会も承認した、20年プランでの債務返済を、スイス銀行が厳しく評価している。同案は、16年下半期の返済は100%割り引き、その後の返済は割引率を毎月5・3%ポイントずつ下げていくという、実質的な返済延期措置だ。議会が支出抑制策提示などの州側の義務を削除したことと税収減で、この州財政救済策は余り意味をなさなくなったという。