【既報関連】年が明けてわずか15日で、全国の刑務所での囚人死亡者が134人を超えた事をうけ、ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)が、1年間の期限付きで国軍兵士を刑務所内で活動させる事を承認し、発表したと18日付現地紙・サイトが報じた。
兵士の刑務所内での活動は、武器や薬物、携帯電話、その他の禁止物品の捜索と一掃に限定され、囚人たちと直接接する事はない。
17日に開かれた、テメル大統領やアレシャンドレ・デ・モラエス法相、ラウル・ジュングマン国防相、および各州の保安や刑務所管理の責任者が出席した会合後に発表された内容は、18日付の官報に掲載された。
連邦政府は、各地で頻発している、犯罪組織同士の抗争に端を発した刑務所内の暴動が、今や国家規模の問題となっている事を認めた。また、暴動が今後、南東部や南部にも拡大する事も危惧している。
ジュングマン国防相も、「今や刑務所は、〃ギャングたちのオフィス〃と化している」と語った。
政府広報によれば、軍介入は、刑務所内の治安維持の正常化を目的としており、兵士は州知事が要請した場合にのみ派遣される。
州による軍の出動要請は、18日より受付が始まった。1月1日に刑務所内暴動が発生したアマゾナス州政府は17日、「出動要請の受付が認められたらすぐに要請を出す」意向を明らかにした。
各州の保安担当者は、保安部門にも医療、教育部門と同様に国家予算からの直接の予算配分を行う事を求めた。
ジュングマン国防相は18日の朝、政府は当面1千万レアルの予算を割いて、千人の兵士を刑務所内介入オペレーションに投入する予定だと発表した。同相は、この数字は各州知事の要請次第で増える可能性がある事と、この計画を実際に稼動させるための諸準備には8~10日を要する事も明らかにした。
ジョゼ・ダ・シウヴァ・フィーリョ元国家保安局長は「軍は刑務所内での活動のための訓練を受けておらず、準備ができていない」とし、兵士出動は誤りだと指摘している。
政府は財政ひっ迫を理由に、18日に予定されていた、全26州と連邦直轄区の知事を集めての公共保安国家計画制定の式典をキャンセルした。その代替として、テメル大統領は各地域の州知事たちと個別会合を持つ。最初の会合は、今年に入ってからの刑務所暴動の被害が最も大きいアマゾナス、ロライマなどを含む、ブラジル北部の知事との間で18日に持たれた。