【既報関連】14日に起きた暴動で26人の死者を出したリオ・グランデ・ド・ノルテ州(北大河)州都ナタール近郊の州立アルカスス刑務所で、19日に再び抗争が発生した。同刑務所では18日、新たな暴動や脱獄回避のために囚人220人を移送する作業が行われたが、18~19日には移送に対する抗議として、州内8市でバス焼き討ちなどの暴力行為が起き、州民を恐怖に突き落とした。19日付現地紙・サイトが報じている。
アルカスス刑務所内では14日以降も、囚人たちが屋根の上に登り、敵対する犯罪組織に属する囚人を威嚇する行動が続いていたが、19日は、相手側の囚人がいる棟に石などを投げ付け、バリケードを超えて侵入しようとする動きが出た。
サンパウロ州を本拠とする州都第一コマンド(PCC)の囚人がいる第5棟と、同州では最大勢力の犯罪シンジケート(SDC)の囚人がいる第4棟は、塀をはさんで対峙しており、11時半頃、双方が攻撃行動に出た。
第1、第2棟の囚人も含めたSDCが第5棟を襲撃する計画がある事は州保安局も把握していたため、軍警が見張り所からゴム弾を放つなどして制圧に務め、午後2時頃には状況がかなり緩和したが、2時半現在、死傷者の数は不明だ。
この日の抗争は、SDCが18日に始まった囚人の移送で襲撃の機会を失う事を恐れた事も関係していると思われる。
18日の囚人移送は、アルカススの220人をはじめ、3刑務所、計571人が対象となった。これは、SDCの囚人をナタール都市圏カイコ市にあるパルナミリン刑務所に集め、他の組織所属者や無所属の囚人を隔離するための措置だ。
SDCはこれを嫌い、アルカスス刑務所内から「街を火の海にしろ」というメッセージを発信。暴力行為はナタールやカイコなど8市で起き、19日午後2時半までに、バス22台、マイクロバス2台、公用車5台、警察署2カ所、公共施設1カ所が被害にあった。
また、18日夜はカイコ市の州立セリド刑務所で暴動が起き、少なくとも囚人1人が死亡し、7人が負傷した。
カイオ・ベゼーラ同州保安局長は、「市警、軍警、その他全ての治安当局は連携して状況の沈静化に当たっている」と語り、市民を落ち着かせることに務めたが、襲撃を恐れたバス会社は、18日夜の運行を中止し、19日も通常より遅い時間から運行を再開した。
同州の刑務所の大半を支配するSDCは、パルナミリン刑務所に携帯電話の電波遮断機がつけられた事に抗議し、昨年7~8月にナタールや内陸部38市で100回以上の暴動を起こしている。
連邦政府は18日、州からの要請があれば刑務所内に軍を出動させ、囚人たちが隠し持つ武器、薬物、携帯電話などの捜索に従事させると正式発表しており、アマゾナス、ロライマ、北大河の3州が軍出動を要請した。
タグ:写真ニュース テメル大統領 ブラジル リオ サンパウロ