ブラジル連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事の事故死を受け、世界でも類を見ない規模に膨れ上がった汚職事件を摘発する、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の今後が先の見えないものになりうる危険性が強くなっている。20日付現地紙が報じている。
テオリ判事の急死で、LJの今後の展開は極めて苦しいものとなった。それは、14年3月のLJ開始直後に最高裁での同作戦の報告官に選ばれた同氏が、疑惑がかけられた連邦政府の閣僚や議員に関する捜査開始許可などと共に、すべての報奨付供述の可否の判断を行うなど、LJ全般に関与してきたためだ。
最高裁では今日まで、LJに関する裁判が行われておらず、ペトロブラスの元役員や大手企業家といった被告を厳しく罰し続けるパラナ州連邦地裁判事で、今や国際的にも知名度が高くなったセルジオ・モロ判事と比較され、「進展が遅い」と批判されることもあった。
だが、疑惑の政治家への捜査要請を積極的に認め、捜査を円滑に進めていた手腕は評価されている。16年5月に出したエドゥアルド・クーニャ下院議長の議長停職命令は、同議長の辞任、罷免にもつながった。モロ判事も「テオリ氏がいなければ、LJは成り立たなかった」と弔辞で謝辞を示している。
テオリ判事が担当していたLJの報告官役は、「新しく選ばれる後任判事が行う」「他の判事の誰かが代行する」の二つの選択肢がある。新しく後任を選ぶには通常、数カ月を要する。LJが陣俗な進展をしないと、経済回復への悪影響も予想されるため、現時点では後者の可能性が強いと見られている。
フォーリャ紙が示唆するように、テオリ判事が在籍していた第2班の誰かが引き継ぐ場合は、ジウマール・メンデス、セウソ・デ・メロ、ディアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドウスキーの4判事の誰かが担当することになるが、閣僚や両院議長など、全体審理を必要とする人物も関与しているため、「最高裁全体から選ぶべき」との声もあがっている。
新任判事の指名はテメル大統領が行うが、事故直後、同大統領は「なんということだ」と絶句、驚きを隠せなかった。
テメル大統領は、テオリ判事のこれまでの業績や判事としての資質を賞賛し、今後3日間、喪に服すことを宣言した。
現時点では後任判事のめどは立っていない。世論の声ではモロ判事の最高裁判事就任を望む声が強いが、定かではなく、人選がいつ行われるかも現時点ではわからない。
また、来週からは、12月に行われた950件のデラソンに関するオデブレヒト幹部との個別会見を行い、2月には供述内容の承認と公表許可が出る予定だったが、個別会見は全てキャンセル。デラソン承認は3カ月以上遅れる見込みだ。
これからは政治家への捜査や裁判が進むと思われていた矢先の同判事の死に、国内外のメディアや国民は大きなショックを受け、今後の捜査に暗雲が立ち込めないか、強く心配している状況だ。
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