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東西南北

 20日のブラジル国内でのニュースはテオリ最高裁判事急死のニュースで持ちきりだった。とりわけ、社会的注目度の高かったオデブレヒトのデラソンが承認される直前に、悪天候での飛行機墜落死という状況を、2年半前に大統領候補だったエドゥアルド・カンポス氏が急死したことと重ね合わせ、その偶然を信じられない人が多い。パラナー・ペスキーザスという調査団体が緊急に行った「テオリ氏の死は事故だと思うか」のアンケートでは83%が「違う」と答え、陰謀説を信じる人の多さが伺えた。今回のデラソンは政治家の名前がこれまで以上に公表されることが明らかだったため、その心情もわからないではない。果たして真相はいかに。
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 今回のテオリ氏の飛行機事故はカンポス氏の墜落事故とよく比較されるが、もうひとつ別の偶然がある。それは、今回の現場が、1992年10月に起きた、「ブラジル民政復帰の父」、ウリセス・ギマリャンエスが飛行機墜落死した現場の近くだということだ。ウリセス氏は、1988年制定の新憲法作成に尽力した政治家として、その名をブラジル政治史に刻まれることになった人物だ。草葉の陰でラヴァ・ジャットの進展を見守ってほしいが。
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 さらに、テオリ氏の今回の死はもうひとつ数奇な運命がある。それは命日となった19日が、2002年に謎の暗殺死を遂げた、当時、大サンパウロ市圏サントアンドレ市長だったセウソ・ダニエル氏(労働者党・PT)の遺体発見日でもあることだ。ブラジルの政治史の謎の一つとされていた市長暗殺事件も、今回のテオリ氏の急死で改めて注目されそうだ。