日本国外を拠点にした文化広報施設「ジャパン・ハウス」(以下、JH)が今年5月にオープンするのに先駆け、在サンパウロ総領事館(中前隆博総領事)は、日系社会をはじめとする次世代を担う若いリーダーを招待し、『意見交換会』を19日夜、サンパウロ市モルンビー区の在サンパウロ総領事公邸で行った。各界で活躍する50人以上の若者は、興味深々といった様子で説明に耳を傾け、活発な質疑応答が交わされた。
挨拶に立った中前総領事は、「これまで全く知らなかった日本に出会う驚きに満ちた場所になる」と力説し、日系人の若者に対して「何が日本なのかを再発見し、ルーツに誇りを感じられるものになれば」と期待を滲ませた。
その後、平田アンジェラ事務局長から、JHのコンセプトや概要説明が行われた。出席者のなかには、羽藤ジョルジサンパウロ市議、IPKの小林ヴィットル会長ほか、各日系団体や企業など各界で幅広く活躍する日系の若者が多く参加した。
質疑応答では、現代的な側面を全面に打ち出すJHに高い関心を持った参加者から、共感を表わす声が多く寄せられた。
「中長期的には、地方都市にも持ってきて欲しいという声も高まるのでは」との日系人男性からの質問に対し、中前総領事は、「JHは日本政府として初の試み。まずはサンパウロ州で成功させることが重要」とし、「SNSを通じて情報が拡散し、全伯から来てもらえる施設になれば」と期待した。
大阪なにわ会青年部のリリアン・ミエ・オザキ・シモヒラさんは、「県人会では若い人材の不足に悩まされている」と言及し、「JHの提供するような若者を惹きつける現代的な要素を取り込むことができれば、県人会の活性化に繋がるかも」と期待を寄せた。
日本ロリータ協会公認「ブラジルかわいい大使」の松田明美さんも、好印象といった様子。「大変素晴らしい。JHでロリータお茶会や、ファッション・ウォークができれば。アイデアは沢山あります」と期待を語り、「日本のカワイイ文化をもっと普及させたい」と意気込んだ。
本紙の取材に対し、中前総領事は「多様化が進むなか、既存の組織には入らないが、各界で活躍している日系人の若者が多くいる。普段は互いに知り合うこともない、そんな若者が集る場所を作りたかった」と今回の意図を説明した。
会合を終えた参加者らは夜遅くまで歓談を楽しんだ。同総領事は「立派な若者が結集すれば日系社会にとって凄い力になるはず」と期待を膨らませた。