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邦人狙い強盗多発、殺人も=2週間で5件立て続け、サンパウロ=両替後の尾行に警戒を

 新年早々、サンパウロ市内で邦人の強盗被害が相次いでいる。在サンパウロ総領事館が安全対策情報としてサイト(www.sp.br.emb-japan.go.jp/jp/)に公開しただけでも4件にのぼる。奪われた現金は総額1万4千レアル(約50万円)近くで、いずれも移住者や日系人が多く暮らすリベルダーデ区(東洋街)での換金後、日中に被害に遭った。さらに16日には強盗殺人まで起きた。年始の2週間ほどで計5件、うち死亡1人という邦人被害状況は、普段であれば月に1、2件の強盗程度だった昨年までとは大きく異なる。総領事館も注意を促している。

 4件の強盗は5日から16日にかけて市内各地で起きた。ビジネス街のパウリスタ大通り周辺や東洋街などでも発生している。1件目(5日午後3時)は東洋街の旅行代理店で両替した後、市南部ミランドーポリス区の自宅付近(Rua dos Iris)までタクシーで移動して下車した際に、バイクの2人組に襲われ所持品を奪われた。
 2件目(10日正午)も両替後を狙われた。グアルーリョス空港に到着後、ホテル手配の車両で移動。東洋街での両替を済ませ、パウリスタ大通り裏のインターコンチネンタルホテル(Al. Santos, 1123)へ向かうと、後方から尾行したバイク2台に襲われ所持品を奪われた。ホテル敷地内での犯行だった。
 3件目(10日午後3時)も東洋街での両替後だった。夫婦が換金後、メトロでアナ・ローザ駅へ。駅から徒歩で帰宅する途中、自宅付近(Rua Dr. Jose de Queiros Aranha)でバイクの2人組に襲われた。4件目(16日午後1時過ぎ)も東洋街での換金後、周辺を徒歩で移動しているとき強盗に遭った。
 4件の被害総額は、現金だけでも1万4千レアル弱だった。バッグや時計、電子端末も奪われているが、どれも身体的被害はなかった。だが16日午後には、これらとは別に強盗殺人事件も起きた(本面の共同通信の配信記事に詳細)。
 驚くことに多くの場合、東洋街で換金後、移動した後に拳銃で脅され被害が出ている。また犯行は複数犯で、バイクを利用することも共通している。さらに事件はどれも日中だった。
 邦人保護を担当する大湊弘治領事は「不況も理由の一つではないか」とし、遭遇時は抵抗しないように呼びかけた。また「警察の発表を待つ必要があるが、同一犯であるかもしれない」とも語った。
 サイト上でも「車両尾行に気付いたら、警察署などに寄ってやり過ごすこと」などと具体例を示し、乗降時も安全確認を怠らないよう呼びかけている。


□関連コラム□大耳小耳

 在聖総領事館サイトで、改めて過去半年分の邦人被害情報を見返した。サンパウロ市リベルダーデ区のマクドナルドで老人が硬貨を落とした際、拾うのを手伝った邦人が荷物を盗られた置き引き事件。帰宅ラッシュ時の地下鉄でスリ。ピニェイロス川沿いの自転車コースで、少年らに囲まれ強盗。都心部で腕時計の強奪。市営市場やセー広場でも…。昨年来の不況がさらに本格化し、最悪の失業率になっており、治安悪化に影響しているよう。この時期は、カーニバル前で遊ぶ金ほしさかも。手口も場所も様々なので、いつでも警戒するにこしたことはないようだ。