沖縄県人会長や沖縄文化センター理事長を歴任し、移住初期から長年コミュニティーに貢献してきた山城勇さん(89、沖縄)が、移民人生を振り返った自分史『回顧録―おしどり米寿を迎えて』(日ポ両語)の出版祝賀会を2月5日午後5時からブラジル沖縄県人会館大ホール(Rua Tomas de Lima, 72, Liberdade)で行う。
1928年に糸満市米須で生まれた山城さんは、43年に満蒙開拓青少年義勇軍に入隊し満州へ渡った。終戦後は大連で2年間の避難生活を経験した後に引き揚げ、58年に第4次沖縄産業開発青年隊としてブラジルに渡った。
サントアンドレー市郊外で野菜作りとフェイランテで生計を立てる傍ら、移民初期から沖縄コミュニティーに貢献し、04年にサンパウロ市名誉市民権、06年には旭日双光章が授与された。
執筆は2年半の歳月を要した。完成した著書は384頁に及ぶ。これまでの移民人生や長年携わってきた沖縄系コミュニティーが辿ってきた足跡が、著者の視点から豊富な資料とともに綴られている。祖先の歴史に関心を持つ同県系人子弟には、充実の一冊だ。
「日本のような安全で優れた文化の国からなぜブラジルへ移住してきたのか」―。長男から疑問を投げかけられたのが執筆のきっかけだった。「戦争や地上戦を経験した沖縄の苦難を知らない子供達に対して、容易に返答できる問題ではない」として、実質的な歩みを記述することで時代背景がよく解るように、自分史を執筆したという。
山城さんは、「これでようやく子供たちが、ブラジへ渡ってきたわけを理解しくれるのでは」と期待を滲ませ、「本書を見たいという関心のある方もぜひ来てください」と呼びかけている。