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《ブラジル・最高裁判事飛行機墜落事故》「誰がテオリを殺したか」

テオリ判事が「事故」の数時間前に家族へ送ったビデオの画像

テオリ判事が「事故」の数時間前に家族へ送ったビデオの画像

 「誰がテオリを殺したのか?」――そんな陰謀説が、テオリ・ザヴァスキ最高裁判事を乗せた飛行機が墜落した19日からネット上を飛び交っている。「単なる事故」か「誰かが画策した事件」かで意味が変わってくる。今回はさっそく連邦警察も捜査に乗り出した。「事件」でないと証明する意味でも、しっかりと調べてほしい▼19日夜には、歴史家で反ルーラ派の急先鋒のマルコ・アントニオ・ヴィラ氏が自分のブログに過激なコメント映像を上げた。「かつてサントアンドレ市長のセルソ・ダニエル(PT)、カンピーナス市長のトニーニョ(PT)が暗殺され、ジョアン・バカリ・ネット(PT元会計)が理事長をしていた団体バンコッピの役員3人もペトロリーナで不審死を遂げた。そして今回の事件。テオリ判事によってオデブレヒト社77役員らの司法取引証言が承認される直前だった。連邦議員の多くが巻き込まれるはずで、今回の〃事件〃で一番喜んでいるのはルーラだ。腐った政治家を喜ばせているこの〃事件〃をしっかりと捜査すべきだ」と驚くような名指しをした映像だ▼これを翌20日午前6時に見た時には、すでに再生回数22万回を超え、うち1万2千人が「いいね」を押した状態だった。「歴史家の直感」で言っているだけで何ら根拠はないが、妙な共感が広がっている▼それに火を注いでいるのは、テオリ判事の息子フランシスコ氏の発言だ。彼が昨年5月26日のツイッターで《ラヴァ・ジャットを止めようといろんな手を駆使している動きがあることは明らかだ。(中略)もし僕の家族に何かが起きたら、あなたはどこを疑ったいいか、もう分かるでしょ》と発信し、家族も含めて繰り返し強迫を受けていることを明かした▼ネット政治評論家のエドゥアルド・ギマランエス氏は19日付ブログ「誰がテオリを殺したか?」で《ルーラは議員特権を持たないから、最高裁扱いではなく、今回との関連は薄い。むしろ今回のオデブレヒト社の司法取引が承認されて一番困るのはテメル大統領だ。フォーリャ紙が独自に入手したその内容によれば、テメルの名はクラウジオ・メロ・フィーリョ(元オデブレヒト社国際機関担当役員)の証言で43回も言及されている。同様にパジーリャ官房長官は34回、モレイラ・フランコ公私投資プログラム局長は34回。最近辞任したばかりのジェデル・ヴィエイラ・リマ元大統領府総務室長官は67回、政府上院リーダーのロメロ・ジュッカー上議にいたっては105回も言及されている》と指摘する▼ここに出てきた政治家名は全てPMDBだ。司法取引証言の内容が公表されれば、政府枢軸に大激震が走ることが予想され、テメル大統領こそが「陰謀」をたくらむ動機を一番もつと、ギマランエス氏は書く。とはいえ全て推論に過ぎない▼関連記事を読み漁る中で、一番興味深かったのは、テオリ判事が「事故」の数時間前にワッツザップで家族に送った、インドの有名なヨガ導師(グル)サドゥグルの講演ビデオだ。いわく《今という瞬間、一番大事なことは、なにか? それは今、あなたが生きているということ。お金も、家族も、貴方が今生きているから大事なのだ。明日の朝、起きたあなたを想像してほしい。この地球上では毎日25万人が死んでいるが、あなたは違った。それだけで最大級の笑みを浮かべる理由になる》▼テオリ本人が「いつ死ぬか分からない」という緊張感の中で日々を過ごしていたことが伺われる。聞きようによっては、自分には何かが起きるかもしれないと察知していて、家族に「お前たちだけでも明日の朝起きて、生きていられたことに感謝しなさい」と伝えようとしているようにも思える。あまりに意味深なメッセージではないか。(深)

★テオリ判事が「事故」の数時間前に息子の送ったビデオの記事
http://www.diariodocentrodomundo.com.br/video-antes-de-viajar-teori-mandou-aos-filhos-palestra-de-guru-indiano-sobre-a-brevidade-da-vida/

★ユーチューブ
https://www.youtube.com/watch?v=_s2NYRgTG4s

https://www.youtube.com/watch?v=_s2NYRgTG4s