トカンチンス州パウマスの病院の集中治療室で24日、ジョアン・ロドリゲス・ペレイラさん(55)とマリア・マダレナさん(46)の結婚30周年を祝う祝賀会が開かれた。
機械に頼って呼吸しているジョアンさんは外に出られないため、2年前に入院して以来、誕生日やクリスマスなどは常に病院の中で祝ってきた。
そんな二人を知る病院のスタッフが、上司らと話し合って実現したのが今回の結婚記念の祝賀会だ。この会には、二人の間に生まれた子供4人と孫2人だけでなく、親戚や友人、知人、100キロ以上離れた町の神父までが集まった。
ジョアンさんが多発性硬化症という難病を発症したのは2012年の事だった。病名が判明し、「やがて手足の自由が利かなくなり、会話や呼吸さえできなくなるが、思考能力だけは最後まで残る」と説明する医師の言葉に、「何と大げさな表現」としか思えなかった二人。だが、その言葉は一つ一つ実現し、ジョアンさんが機械呼吸に頼るようになった2年前、自宅のあるシウヴァノポリスから108キロ離れたパウマスの病院に入院する事になった。
「あの頃は病気の事は何一つ理解していなかった」というマリアさんだが、「愛は肉体だけのものではないという事を皆に知って欲しい。彼のそばにいるのは、彼を喜ばせるためよ」と言って、できる限り病院に通う。
病院のスタッフが用意してくれた背広とネクタイを身に着けたジョアンさんと共に、ケーキを前にしたマリアさんは、結婚してからの30年間を振り返りつつ、「最後まで彼と寄り添って行く」「彼の毎日が最良のものであるように最善を尽くす」と言う。
心からの祝福を願って集まった人々に向かい、「4日間病院に来られない時があって、久しぶりに私の顔を見た主人に向かい、『奥さんを失わない様に気をつけないとね』とカウンセラーが言ったら、主人はにっこり笑っていたわ」といった思い出を語るマリアさん。30年を振り返り、「最後まで彼と寄り添って行くわ」「彼の毎日が最良のものであるように最善を尽くす」という姿には、悲壮感も気負いもない。
「家族との関係は難病患者の生活の質を保つために不可欠」と考えるカウンセラーは、遠くから通うマリアさんのため、面会時間延長も認めた。
病気が発見された時、ジョアンさんはあと3~5年の命と宣告された。既にその期間も過ぎた今、マリアさんは誰はばからず「彼が生きている間は毎日が勝利の連続なの。彼のそばに居られる日は神様からの特別報酬よ」と言い、二人で過ごす一瞬、一瞬を心から大切に生きている。(26日付G1サイトより)