サンパウロ市のジョアン・ドリア市長が1月30日、教育と保健衛生だけで26億レアル超という大幅な予算凍結案を官報に掲載したと1月31日付エスタード紙が報じた。
ドリア市政が凍結した額は、教育が予算額の28・5%にあたる12億8千万レ、保健衛生が20・7%相当の13億8千万レなどで、ハダジ市政最終年の凍結率(教育11%、保健衛生4・85%)を大幅に上回る。
予算凍結の対象は資材購入費その他の経費で、人件費や投資に関する予算は対象外とされた。凍結された予算は、歳入の状態を見ながら、徐々に解除される見込みだ。
教育や保健衛生以外の分野の予算凍結率は、文化43・5%(昨年は34・7%、以下同)、環境管理44・5%(29・7%)、上下水道普及25%(0・59%)などとなっている。
今回の予算凍結は、保健所や救急医療施設での医薬品不足や対応悪化が問題視されている最中に発表された。医薬品不足は昨年半ばから目立ち始めており、救急医療施設では、血のついた綿が床に投げ捨てられた部屋で点滴を受けたなどという苦情が相次いでいる。
市役所側はこれに対し、昨年はバスの補助金に29億レを費やしたのに、今年度予算は料金値上げを前提にした18億レしか計上していない、教師の給与調整などの予算も4億レの不足が見込まれる、道路や公園の管理費も足りないなど、ハダジ市政が準備した予算案に不備があったと指摘している。
ドリア市長は就任前の16年12月、資材供給業者との契約の15%と運営部門の経費の30%を削減するが、教育や保健衛生部門は削減しないとの意向を示していた。
なお、同市長の看板政策である市街化計画への投資は12・7%、公共交通費は6・84%が凍結された。ハダジ前市長は昨年1月に市街化計画予算を全額凍結。不況に伴う歳入減や国からの支援減少などで、任期最終年の16年のサンパウロ市の投資額は予算の半額にしか及ばなかった。