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パラグァイで公債増加傾向=バレート元蔵相が注意促す=アスンシィオン在住 坂本邦雄

 第53代目のニカノル・ドゥアルテ・フルトス大統領(2003/2005)時代の元大蔵大臣セサル・バレート経済学士は、現政権下で可なり加速している公債の増額傾向は危険だと警鐘を鳴らした。
 最近の大蔵省の発表では、2016年度末現在の国債総額は62億94300万ドルに達し、カルテス政権初年度の2013年末総公債額の41億7400万ドルに比べて50%もの増加率を示しているのだ。
 なお、同省によれば2014会計年度末では、それが54億30万ドルで国内総生産・GDPの17・6%に相当した。同じく、2015年度は54億6千4百30万ドルで、対・GDP19・7%である。それが、昨年度末は23・1%にも上昇した(別表参照)。
 この点に関し、バレート専門家は確かに政府は電力、上下水道、路線網等々、多くの公共サービス改善の為により良きインフラ整備の構築に投資すべきは疑いの余地がないが、余りに急速な債務超過に陥ってはならないと注意した。
 しかして公債の発行はいわゆる「財務責任法」が定める、対年間GDPの1・5%相当5億ドルの限度内で行うべきであるとした。
 この枠内での債務引受けの推移は妥当であり、恐らく今後幾10年間にわたる返済義務に支障は来さないだろうと云う。
 しかし、この範囲を逸脱したリズムの公債発行は政府の財務管理能力を侵し、その修正は容易ではなくなるだろう。
 加えて問題なのは、我が税務署の徴税効率がはなはだ悪く、最近は多少改善されたとはいえども、大型脱税行為が依然と蔓延しており、当局はその取り締まりに悩まされている事である。
 パラグァイ国の納税義務の圧迫は未だ低く、それは一方では経済に有利に働く。
 多分、税金を増やすと、政府は行く行く債務の決済は楽になるだろう。しかし、それも適度に合理的な速度(リズム)で行うのが最も賢明な処置だと言える。
 かつて、5年か6年前は国の借金はGDP・国民総生産の10%相当だったのが、今日では其れが20%に跳ね上がっている。今後はこの傾向を節度をもって調整しなくてはならないと、バレート専門家は主張した。
 なお、投資事業続伸の為の財源確保に付いて同元蔵相は、民間資本に参加の道を開く必要があるという。
 正に、APP・官民協調投資法は其のヴィジョンの下に制定された法律で、全国のインフラ整備事業促進の為にもっと意識的に活用すべきであると力説した。
 当国で同APP法の適用プロセスは未だ非常に緩慢な状態に在る。多分、これからは更に同法の適用による事業が増すであろう事を期待する。
 件の「官民協調投資法」の例は、多くの地域諸国では大変良い結果を得ているが、我が国でもその投資法をもっと有効に活用せず、大切な時間を失っている理由はない。ただし、これが徒いたずらに国家財政の負担を増大する罪になってはならないとバレート元蔵相は締め括った。(坂本さんの連絡先=kunimaru_sakamoto@hotmail.com