テメル大統領は2日、閣僚ポスト二つの復活と3人の閣僚新人事を発表した。新閣僚の1人は、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の疑惑の人物であるモレイラ・フランコ氏(民主運動党・PMDB)だ。また、民主社会党(PSDB)からは2閣僚が選ばれており、テメル政権内での同党の影響力が強まりそうだ。3日付フォーリャ紙などが報じている。
2日発表の新閣僚は、昨年11月のジェデル・ヴィエイラ・リマ氏辞任以来、空席となっていた大統領府総務室長官にアントニオ・インバサイ氏(PSDB)、大統領府事務局長官にモレイラ・フランコ氏、人権局長官にルイスリンダ・ヴァロイス氏(PSDB)だ。
大統領府事務局は現在の大統領府総務室の前身で、15年11月に廃止されていた。人権局も16年5月の統廃合で廃止されていたが、今回復活した。2人の長官は大臣級の扱いとなる。
中でも注目されるのはモレイラ氏の人事だ。これまで公私投資プログラム局長を務めていた同氏は、エリゼウ・パジーリャ官房長官やジェデル氏と並んで「テメル政権の三本の矢」と称されており、テメル大統領の信頼がとりわけ厚い人物として知られている。今回の人事で大臣級の職を得たことで、よりその重要性を増すことになる。
だがモレイラ氏は、LJで強い疑惑を持たれている政治家のひとりでもある。特に、オデブレヒト社元副社長のクラウジオ・メロ・フィーリョ被告の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)では、34回も名前が登場し、同社から贈賄を受けたことが明かされた。同社内でのコードネームは「アンゴラ」だった。
オデブレヒト社が昨年12月に行った、現・元幹部77人によるデラソンは、1月30日にカルメン・ルシア最高裁長官によって承認された。
現在は検察庁がそれを基とする捜査に乗り出しており、モレイラ氏の疑惑についてもさらなる言及があると予想される中で、あえて昇格人事を行ったことになる。
また、現在のPMDB政権の中で、最大のライバルであるPSDBが、大統領府内ではナンバー2にあたる役職を含む二つのポストを確保したのは、同政権の中でPSDBの影響力が強まったことを意味する。これは、来年の大統領選挙で16年ぶりの政権奪回を目指す同党にとっては重要な一歩となりうる。
また、この新人事と同時に、アレッシャンドレ・デ・モラエス氏(PSDB)の肩書きが、現在の「法務相」から「法務保安相」に変更されることも発表された。これは、北部・北東部などで問題となった、犯罪組織による刑務所内での暴動を含む治安問題に対応するためのものだ。