アレシャンドレ・デ・モラエス法務相がリオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタルで2日、国家安全保障計画(PNS)の始動を宣言したと2、3日付現地紙、サイトなどが報じた。
PNSの目的は、国と州、市などが連携して犯罪を減らす事で、州都での殺人事件を年末までに7・5%減らす、刑務所の環境改善などの具体的な目標も掲げている。
PNS始動がナタルで発表されたのは、ナタル近郊のアルカスス刑務所で1月14日に囚人26人が殺害された事なども踏まえたものだ。同州では、サンパウロ州が拠点の犯罪組織「州都第一コマンド」(PCC)と、同州が拠点の「犯罪シンジケート」との抗争などで、16年の殺人被害者数が1900人を超え、人口10万人当たりの殺人事件発生率も50を上回った。
殺人事件は今年に入って急増し、アルカススでの死者も含めた1月の犠牲者は208人。3時間半に1人が殺された計算になる。昨年同月の犠牲者は147人だから、41・5%増だ。
モラエス法相はリオ・グランデ・ド・ノルテ州のロビンソン・ファリア知事と共に、国家治安部隊(FN)と軍警による犯罪多発地区の監視強化、監視カメラなどを駆使したリアルタイムの犯罪情報地図作成、監視・統制センター設置と種々の情報の共有などを列記した合意書に署名。15日から具体的な行動開始と宣言した。
一方、年内閉鎖と発表されたアルカスス刑務所では、PCC構成員がいる棟と他組織の囚人のいる棟の間の壁建設や刑務所周辺の柵設置、囚人が持っていた武器や麻薬、携帯電話などの押収その他の作業が進行中だ。
今月中にPNSが導入されるリオ・グランデ・ド・ノルテ、セルジッペ、リオ・グランデ・ド・スルの3州の州都は全て、昨年の殺人事件発生率が上位10位に入っている(ナタル4位、アラカジュー5位、ポルト・アレグレ10位)。
リオ・グランデ・ド・スルでは2日朝、州北部サランジ市の刑務所で暴動が起き、囚人2人が殺され、3人が人質となったが、2時間後に沈静化した。同州保安局は、同刑務所には犯罪組織構成員はおらず、1月に発生した他州での暴動とは無関係と説明している。