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《ブラジル》菊地義治さんの日本移民110周年実行委員長就任を歓迎

「もう一度大きな祭典を開こう!」と呼びかける西森ルイス下議

「もう一度大きな祭典を開こう!」と呼びかける西森ルイス下議

 パラナ州では1月29日に連合会総会が開かれ、上口寛氏(66、鹿児島県)が新会長に選ばれ、開口一番に「110周年に向け、今日から動き出さなければ」と提言。その場で西森ルイス連邦下議を祭典委員長、折笠力己知(りきち)前連合会長を祭典副委員長、上口氏を実行委員長とする実行委員会が発足した。実にテキパキとした動きだと感心する▼サンパウロ市でも半年がかりで、ようやく実行委員長が菊地義治さんに決まった。スタート地点に立ったことを心から祝いたい。とはいえ「サンパウロ市でも」という時点で、本来はおかしい。パラナは州全体から日系団体代表が集まって実行委員長を決めているが、サンパウロ市では代表5団体が決めた。「パラナは日系団体が少ないからできる」という人もいるが、百周年時には州内に70団体もあった。それが毎年集まるのだからすごい▼サンパウロ州では最大規模のノロエステ連合が30団体、他の地域の地方文協を合計すれば120団体は超えだろうが、残念ながら一堂に会する機会はない。サンパウロの文協は「全伯を代表する団体」といわれているが、実態としてはサンパウロ市周辺の個人会員が中心。地方文協代表者の集まりという「連合会」組織ではない▼サンパウロ州はいつもサンパウロ市5団体だけでゴソゴソとやっている雰囲気がある。正直言って、南米銀行やコチア産業組合中央会があった90年代まではそれで良かった。南米銀行支店やコチア単協が地元日系団体と直結して、実質的な連合会的なネットワークを作っていたからだ。だがそれらがなくなった90年代以降、プッツリと地方とのつながりが切れてしまった印象が強い。つながりが切れても5団体で決め続けるから、サンパウロ市と地方文協の精神的な距離はどんどん離れていく感じがする▼一方、パラナ州は中心に西森ルイス連邦下議がいる。連合会会長が代わっても、彼が指導力を発揮して一貫性のある方向性を打ち出し、ノウハウと人脈を蓄積している。その彼が祭典委員長となり、「テメル大統領や州知事、池田総領事にも名誉委員長として参加をしてもらいたい」と語り、政府と一体になって進めていく意気込みを見せている▼西森氏は伯日議員連盟会長として、すでに日伯議連会長の麻生太郎副総理兼財務相とも皇室ご訪問に向けた話を水面下でしているという。4月にはロンドリーナと西宮の姉妹都市交流を祝い、市長や経済視察団を連れて訪日し、その機会に皇室ご訪問に向けた話も行われる予定だ。西森氏は同総会の中で「110周年の準備を通じて有能な若い層を実行委員会へ引き入れて育てていきたい」との頼もしい抱負も語っている▼サンパウロ州にもそんな政治家が必要ではないか。テメル大統領や麻生太郎副総理と、110周年の話をしたサンパウロ州の政治家はいるのか、予定はあるのか。サンパウロ市の一部でゴソゴソと会議をやっているだけでなく、州全体が110周年に向けて熱気を帯びるようなことを考えなくてはいけない段階だと思う▼そんなパラナ州ですら移民百周年時に70以上あった連合会支部が、「55まで減少してしまった」と嘆いている。とはいえサンパウロ州では、「百周年時に実態を持って活動していた日系団体がいくつあったのか。今はいくつまで減っているのか」という問いに答えられる人がいるのか?―というレベルだ▼サンパウロの文協が地方代表者の集まりとしての連合会組織にならないのであれば、パラナ州のような「サンパウロ州日系団体連合会」を別に作るべきかもしれない。毎年一度、サンパウロ州全ての日系団体に召集をかけ、平等な立場で一堂に会し、真剣に現状を話し合う機会を作ったらどうか。集まる場所はサンパウロ市ではなく持ち回りの方が良い▼サンパウロ市5団体だけが「特権階級」のようになっている今の体制で本当にいいのか。110周年はそれを考え直す良い機会ではないか。重要なことは皆で議論したほうが州全体で盛り上がるはずだ。まずは190万日系人の7割が集中するサンパウロ州が結束して盛り上げること。それが結果的に全伯日系社会の底上げにつながるはずだ。(深)