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ブラジルのお役所仕事と政治家の素早さと

 ブラジル国内面担当という立場上、〆切後、その後に出た記事や紙面に入らなかった報道を確認するが、呆れたり、腹が立ったりする記事によく出会う▼7日夜は、ルーラ元大統領が「官房長官就任差し止めは最高裁の歴史的なミスだ」と指摘して修正を求めたとの記事や、クーニャ元下院議長が「ルーラ氏夫人の故マリーザ氏と同じ脳動脈瘤があるのに刑務所内では適切な治療が受けられないから、刑務所から出せ」と要求したという記事に、「往生際が悪い」「姑息」と呟いた。選挙高裁が労働者党や民主運動党などの政党取り潰しに繋がりかねない審理のための報告官を決めるとの報道と共に、政党取り潰し回避のための法案が議会に提出され、緊急審議要請も通ったとの報道もある▼ゴミ回収業者や学校給食担当業者との契約やその更新、街路樹の枝払いや除去、道路補修などという、日常生活に直結する事の解決には時間がかかるのに、自分や政党の利益に関する事なら即座に反応が起こるのは実に不思議だ▼エスピリトサント州では、軍警の給与が4年間調整されていない事などを不満とする家族が、夫達が出動できないように大隊前を固める形のストが続いている。それに対し、州政府が「給与調整なぞできる状況ではない」と答えたとの報には、知事や議員の給与も無調整か知りたくなった▼同州のストは他州でも起きうるストの一つでしかないとの予想が的中しそうなのは困る。だが、自分やその立場、自分の政党を大切にする政治家が、庶民の感情や生活と遊離し過ぎていると思う事が多いのは、報道機関への規制が弱い証拠か。報道規制が強まったとの危惧感が広がる日本よりはましかも知れないが。(み)