8日、ブラジリア地裁が、3日に就任したばかりのモレイラ・フランコ氏(民主運動党・PMDB)の大統領府事務局長の就任差し止め命令を下した。同日はリオデジャネイロ州の選挙地裁も、ルイス・フェルナンド・ペゾン知事(PMDB)と副知事に「州経済の濫用」を理由に解任命令を下し、司法界が政界を大きく揺るがした。9日付現地紙が報じている。
モレイラ氏の就任差し止めの暫定令は、ブラジリア地裁第14法廷のエドゥアルド・ロシャ・ペンテアド判事が出した。同判事はその理由に「ラヴァ・ジャット作戦(LJ)被告による報奨付供述で、(収賄などの)疑惑が指摘された政治家であること」をあげた。
同判事は更に、昨年3月に最高裁のジウマール・メンデス判事がルーラ氏の官房長官就任を差し止めた際同様、公私共同投資局長から大臣職への正式昇格は、LJでの捜査逃れが目的であるように感じられるとした。
だが、ルーラ氏のときは、サンパウロ州検察が既に同州地裁にルーラ氏を起訴した上、逮捕請求も出したものの、同州地裁がパラナ州地裁のセルジオ・モロ判事に判断を委ねた後で、まさに逮捕直前での指名、就任だったが、今回のモレイラ氏はそのような差し迫った起訴事実はなく、捜査もまだ行われていない。
国家総弁護庁(AGU)は7日に控訴し、翌8日にこの暫定令差し止めに成功している。
一方リオ州では、同州の選挙地裁が、ペゾン知事とフランシスコ・ドルネレス副知事(進歩党・PP)の職権乱用が経済破綻をもたらしたとして、二人の解任を言い渡した。同選挙地裁の判決は、昨年のリオ市長選で次点となって話題を呼んだ同州議員のマルセロ・フレイショ氏の訴えに応えたものだ。
判決文によると、同州の財政が破綻したのは、ペゾン氏とドルネレス氏の2人が14年の知事選の際、公共事業契約と引き換えに、企業から多額の不正献金を得たことに起因するという。
この判決は暫定令ではなく、正式な審理を経たものであるため、ペゾン知事らがこれを覆すには上告する他はない。今回の判決は第1審のため、選挙高裁に上告できる。
ペゾン知事らは選挙高裁の判決が出るまでは現職にとどまることができるが、選挙高裁でも有罪となれば、改めて知事選を行う必要が生じる。また、ペゾン氏らはその後8年間は選挙には出馬できなくなる。
8日は司法からの判断でPMDBに激震が走ったが、その一方、上院の憲政委員会(CCJ)では、LJで強い疑惑がささやかれる代表的な政治家でもある、元鉱山動力相のエジソン・ロボン上議(PMDB)が委員長に指名された。その他の委員にも、LJで疑惑の対象となっている議員が10人指名されている。
上院CCJは最高裁判事に指名されたアレッシャンドレ・デ・モラエス法相(現在は休職中)や、次期検察庁長官の諮問を行う重要な機関でもあり、司法側の見方が注目されるところだ。