ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 《ブラジル》混迷深めるリオ州政府=一部の軍警がスト突入=民営化反対のデモ激化=異例、州議会内に催涙ガス

《ブラジル》混迷深めるリオ州政府=一部の軍警がスト突入=民営化反対のデモ激化=異例、州議会内に催涙ガス

リオ州議会前広場で警官と衝突するデモ隊(Tomaz Silva/Agência Brasil)

リオ州議会前広場で警官と衝突するデモ隊(Tomaz Silva/Agência Brasil)

 【既報関連】リオ市では2月より、給与遅配への抗議、州水道下水公社(Cedae)の民営化をはじめとする州政府の進める支出削減政策集に反対などの理由で、職員たちのデモが断続的に起きている。9日には再び、市中心部の州議会前広場で抗議行動が発生して軍警との衝突も起こったと10日付現地各紙が報じた。

 リオ州選挙地裁(TRE)が8日にペゾン知事(民主運動党・PMDB)とドルネレス副知事(進歩党・PP)解任判決を出した事も、デモ隊と軍警の衝突に伴って催涙ガスの臭いが立ち込める州議会での与野党の論戦に油を注いだ。
 デモ隊と軍警の衝突は午後3時半に始まった。デモ隊に混じったブラック・ブロックスがロケット花火で攻撃を仕掛けたため、軍警が催涙ガス弾を発射。この衝突で少なくともデモ隊4人が負傷し、近隣商店や銀行のガラスが割られたりした。
 催涙ガスの被害を防ぐため、議会内の州議、秘書、記者たちには手術用マスクが配布された。
 ジョルジェ・ピッシアーニ州議会議長は、デモ隊の散会を待つため、午後3時からの議会審議を7時に遅らせた。
 焦点となっている水道公社民営化問題は、209の修正動議が出た事もあり、14日に採決となる見込みだ。
 リオ州財政は財政非常事態宣言を出すほど追い詰められており、連邦政府への負債の利子支払いを3年間猶予してもらう代わりに、自力で財政再建を行う事を約束している。水道公社民営化は財政再建案の一つだ。同州は、同社民営化で35億レに及ぶ資金の貸付が受けられると見ている。
 カルロス・オゾーリオ州議(民主社会党・PSDB)は「水道公社民営化には反対していない。選挙地裁から解任判決が出る様な、信用の置けない州政府に白紙小切手を預けるような事はしたくないだけだ」と語った。
 一方、州議会前での抗議行動と警察との衝突頻発など、保安関係機関への依存度が高まる中、同州でも10日、エスピリトサント州同様の軍警ストが始まった。

リオの軍警大隊前で抗議する軍警家族(Tomaz Silva/Agência Brasil)

リオの軍警大隊前で抗議する軍警家族(Tomaz Silva/Agência Brasil)

 ストの噂は今週始めからあり、8日にペゾン知事が14日までの支払いと10%余の調整を約束した事で回避されるとの観測も流れていた。
 10日のストは、待遇改善を求める軍警親族がリオ市と周辺の軍警大隊27カ所の前での抗議行動を起こすという形で始まった。現地メディアの取材に、軍警の妻は「私たちはエスピリトサント州のような給与増額は求めてはいない。昨年の13カ月給や残業手当などが払われていないから抗議している」と語った。
 軍警広報のイヴァン・ブラス少佐は10日朝、「軍警内に給与遅配への不満がある事は確かだが、今日も95%の人員が配備についており、パトロールは通常通り行われている」と語った。だが、同日午後2時のアジェンシア・ブラジルは、メイエル、チジュッカ、メスキッタ、カンポ・グランデの4大隊は、警察車両が出入りできない状態になったと報じている。