ブラジル中部マット・グロッソ州の州都クイアバから400キロほど離れたカンポ・ノヴォ・デ・パレシス市を豪雨が襲い、市内各地に浸水被害などを及ぼした。
同市の農業組合によると、多くの農場が雨に直撃され、400ヘクタールほどの農地が冠水するなどの被害を受けたという。農家は水が引くのを待って、被害の規模と、再び農場に種を撒くかの判断を行う。
10日から降り始めた雨は、市街の道路や家屋にも被害を及ぼした。市が行った予備調査では、900世帯が雨の被害を受け、家を離れることを余儀なくされた。被災者の中には今も家に留まっている人もいるため、被災世帯は1千を超える可能性があり、被災者総数は3千人に達すると試算されている。
同市の農業組合会長のジョヴァナ・ヴェルキ氏が撮影した、被害状況を収めた写真によると、農園がまるで巨大な湖のようになっている。
農地は低地にあり、異なった種類のトウモロコシが植えられていた。農地は完全に水に浸かっており、生産者たちはまだ、再び植える必要があるかどうかさえ分かっていない。
もう一つの懸念は、大豆の収穫だ。雨が止む気配がないため、畑で収穫を待つばかりだった大豆や、収穫後に乾燥させていた大豆を回収する術がなく、品質が落ちてしまうと農家は皆、大いに心配している。
ラファエル・マシャド市長は、大雨によって広範囲で洪水が引き起こされたことで、緊急事態を宣言した。
市内でもっとも大きな被害を受けたのはジャルジン・ダス・パルメイラス地区だった。水かさが急に増したため、一部住民は緊急にボートで救助された。また、ボア・エスペランサ区とジャルジン・オレンカ区でも洪水が発生した。
同市には、大量の雨が降った時に雨水を溜めておくための貯水池(通称ピシノン、巨大プールの意)があるが、今回の雨は想定された降水量を大幅に上回り、貯水池が溢れて、家屋や商業施設などに被害をもたらした。同市防災局では、急速な増水と浸水被害は、市街地のアスファルト化が進み、地面が雨水を吸水できなくなったせいもあると見ている。
被災した住民たちは互いに助けの手を差し伸べあった。避難所となった市営体育館には、被災家族のための衣料品、靴、食品やマットレスが届けられた。住民たちは今後数日かけ、被災地の清掃や被害状況の調査を手分けして行う。
市長は「水位が下がるようにポンプで水をかきだした。今は浸水している家屋は一つもない」と語った。
マット・グロッソ州政府の調査によると、降り始めから丸2日で降った雨は310ミリで、平年の2月の月間降水量を上回る雨が降った。被災者は3千人に上った。
ペドロ・タンキス同州知事は関係部局の長や技術者を連れて12日に同市に赴き、同市関係者と共に状況把握に努めると共に、問題解決のための方策を検討した。
同市防災局の観測によると、雨足が落ち始めるのは16日以降で、それまでの降水確率は連日95%となっている。(13日付G1サイトより)