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《ブラジル》テメル大統領=「被告になるまでは留任」と明言=実質上モレイラをかばう=報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)だけでは不十分とも

13日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

13日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

 13日、テメル大統領は閣僚の不祥事の際の人事について、「事件の被告になるまでは解任はさせない」との見解を示し、問題となっていたモレイラ・フランコ大統領事務局長官を現時点で解任する意思はないことを明らかにした。14日付現地紙が報じている。
 この問題は、テメル大統領が今月2日に、一度廃止された大統領事務局長長官職を復活させて正式な閣僚職とした上、公私共同投資プログラム局長だったモレイラ氏を昇格させ、3日に正式な就任式も行ったことで浮上した。
 モレイラ氏はラヴァ・ジャット作戦(LJ)の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)の中で、オデブレヒト社のクラウジオ・メロ・フィーリョ被告から34度言及され、収賄疑惑がささやかれている。
 このため、同氏に対してはそれ以降、ブラジリアとリオ、アクレの連邦地裁が「同氏の閣僚就任は不逮捕特権を得るためではないか」との見解から、就任差し止めの暫定令を出し、国家総弁護庁(AGU)が解除するやりとりが繰り返された。地裁の一つは、就任は有効だが不逮捕特権は認めないとの判断を出した。
 13日の大統領の発言は、連邦最高裁のセウソ・デ・メロ判事が10日に出した「24時間以内にモレイラ氏就任の理由を説明するように」との通達への返答で、14日にもメロ判事の裁定が下される見込みだ。
 テメル大統領の判断によると、デラソンで疑惑に言及しただけではあやしいとは言えず、検察庁が提出した起訴状を最高裁が受理して被告扱いとなったとき、初めて解任する、という。
 現在、同様にLJのデラソンで言及されている閣僚としてはエリゼウ・パジーリャ官房長官がいる。同氏の名前も、メロ被告から45度にわたって言及されている。
 また、ジョゼ・セーラ外相やブルーノ・アラウージョ都市相(共に民主社会党・PSDB)、ジルベルト・カサビ科学技術相(社会民主党・PSD)もデラソンで名前があがり、収賄の疑惑がかけられている。
 さらにテメル大統領自身も、デラソンで計43度言及されている。
 13日のテメル大統領の発言は、LJの今後の展開への連邦政府の対応とも読める。連邦最高裁のカルメン・ルシア長官は1月末に、12月に行われたオデブレヒト社77人によるデラソンを正式に承認しており、検察庁がその内容を基に捜査内容を決め、最高裁に捜査請求を出す日は遠くないと予想されている。
 ただし、捜査請求の承認から捜査、起訴、起訴状の受理まではそれなりの日数を要すし、議会では今も、過去の選挙戦での裏金(二重帳簿)は罪としないとの法案を通そうとする動きがある。