ブラジル南部のパラナ州クリチバ市の工場などでトラックやバスを製造しているボルボ・グループが、ブラジルを始めとするラ米諸国に、3年間で10億レアル(3億2千万ドル)の投資を行う意向を表明した。
トラックやバスの売上は、ここ数年間、下落傾向が続いているが、同社では、この投資でトラック部門は10%、バスに関しては15%の成長が可能と見ている。
今回発表された投資計画は、前回の5億ドルほどではないが、不況の中である事を考えれば、かなり思い切った投資だ。
10億レアルの内、約90%はブラジル向けとされ、新しい製品の開発や、既存の工場の近代化などを行うという。
ここ3カ月間にブラジル向けの投資を発表した企業は、MANラテン・アメリカ、トヨタ、フォルクスワーゲンがあり、ボルボは4番目だ。今後5年間にこれら4社が投資する額は、総計91億レアルとされている。
同社が製造するトラックは、大型と準大型で、16年の製造量は2万9600台だった。13年が10万3700台だった事を考えると、大幅に落ちており、同社関係者も「現在は02年当時の業績に戻った」という。トラック業界全体の16年の業績は前年比28・8%減、トラックとバスを合わせた実績は前年比30・6%落ちている。
同社は今年、トラック販売が10%回復する事を期待している。また、大型トラックの国内シェアのランキングも保ちたいとしている。16年の大型トラックのシェアは27%で、国内トップの座を占めている。大型で重量のトラックは鉱産物や飲料の輸送が主だが、同社は農産物輸送にも参入して行く所存だ。
16年の業界全体の販売台数が1万1100台に留まったバス部門は、業界全体で10~15%の成長が見込んでいる。同社でも、昨年の644台を上回る700台の販売を望んでいる。
クリチバ工場では約3千人が働いており、設備の稼働率は60%。昨年は不況に伴う生産調整や利益率向上などのため、人員整理も行われ、自主退職者も含めた離職者が約400人出た。
クリチバ工場で製造したトラックやバスの半数以上は、アルゼンチンやチリ、コロンビア、ペルーといった南米諸国に輸出されている。
クリチバ工場でのトラックやバス製造とサンパウロ州ペネドでの建設機器製造、その他の分野を合わせた16年度の売上は48億レアルで、前年比12・7%減った。ブラジル国内での業績は一時、グループ内で2位を占めていたが、現在は5位に落ちている。(15日付エスタード紙、G1サイトなどより)