米ドル/レアル為替相場が14日、1年半ぶりに1ドル=3・10レアルを割り込み、1ドル=3・094レアルで引けたと14、15日付現地紙・サイトが報じた。
2015年6月以来というレアル高ドル安は、国外金融資産がブラジルに流入していることと、ブラジル中銀の為替介入が相まって起こっていると市場関係者は見ている。
市場分析者は、ブラジルの主要輸出品であるコモディティ価格の回復と、年金制度改革に代表される、ブラジル政府の進める財政再建への期待感、さらには未だに低迷しているものの、ブラジル国内のミクロ経済に若干の改善の兆しが見えていることがレアルを押し上げる要因になっていると見ている。
リオ連邦大学のジョゼ・ルイス・オレイロ経済学教授は「サンパウロ市株式指数(Ibovespa)の急上昇に見られるように、ブラジル国内のいわゆる〃相場物〃の取引でバブルが発生していることと、現状に上手く乗ろうとする投資家による国外資金流入が、レアル高の要因になっている」と語る。
投資顧問会社テンデンシアス社のグスタヴォ・ロヨラ氏は、「現在のドル安レアル高は『ブラジルは買い』と国外から見られていることの表れで、ブラジルの経済指標好転や、基本金利が、依然として高いながらも下げ基調であることを反映している」と語る。
国外要因としては、特に1月にドナルド・トランプ氏が大統領に就任した米国に関して、同大統領が、減税や公的支出拡大など、ドル高要因となりうる具体的な政策を発表していないことを指摘している。
ロヨラ氏は、ブラジルに国外投資が還流していると感じながらも、この動きはブラジル連邦政府が財政再建を成功させられるか否かにかかっていると見る。
なお、15日午後4時現在の米ドル/レアル相場は、14日からさらにドルが下げて、1ドル=3・064レアルだった。