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CKC=6次産業化に関心高まる=日系農業団体連携強化会議=中堅指導者の重要性再確認

会議後に参加者全員で記念撮影

会議後に参加者全員で記念撮影

 農林水産省が中央開発株式会社(以下CKC、本社・東京、山口達朗ブラジル所長)に委託する「平成28年度中南米日系農業者連携交流委託事業」の一環、「第2回日系農業団体連携強化会議」が2日から二日間、宮城県人会会館で行われた。ブラジル、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンから90人を越える農業関係者が集まり、各事業の報告、研修の報告等を行った。

 地球温暖化による干ばつや長雨などの異常気象が農業分野へ与える影響は大きく、各事業の報告では、収穫量や植え付け時期などへの影響があったと多数報告があり、環境へ配慮した持続可能な農業への注目の高まりがみられた。
 日本から柑橘専門家の宮田明義さん(64、山口)を招き、「持続可能農業への挑戦」をテーマにブラジル内での農業環境や森林農法、果物の栽培技術と生産物の流通について講演を行った。ピラール・ド・スールの盛岡一家のぶどう、柿、デコポンとアテモイア畑の農地視察、技術指導などを行い、果樹栽培の課題と今後の動向について活発に意見交換がされた。
 パラグアイから参加した、ピラポ農協の菅野美子さん(26、三世)は「中核リーダー育成交流研修」で訪日し、最新技術を持つ様々な企業が集まる次世代農業展への参加、農家訪問(群馬、静岡)、様々な農業組合を見学したと報告した。
 日本の衰退した農業を復興させるための新たな解決策として注目されている「6次産業化」への取組みに強い関心を抱いたという。6次産業化とは、1次産業の生産、2次産業の加工、3次産業のサービス・販売を掛け合わせた新産業のこと。生産したものをそのまま販売するのでなく、加工やサービスの要素を加えることで、新しい価値のある商品、利益が出る仕組みを目指すこと。
 研修で訪れた群馬県のリンゴ農家で6次産業の代表例であるグリーンツーリズムを見学。農園の観光地化、下等品を加工・商品化する事により生産物の無駄のない活用が可能となり、新たな収入にも繋がることなどを学んだ。最後の挨拶で「新たな視点を持つきっかけとなった」と機会を与えてくれた農林水産省に謝意を述べ、「日本とは異なる環境の中で、学んだ事をどう活用するかが課題だ」と語った。
 CKCコーディネーターの本田泉さん(47、三世)は、「年々南米における日系農業者の関係は強化されている」と語り、流暢な日本語で研修報告をした菅野さんに対し「本当に素晴らしい。このような若者の熱心な姿勢が他の方々への良い刺激となっている」と賞賛し、中核リーダー育成の重要性について語った。