【既報関連】4日より軍警ストが発生しているエスピリトサント州で、13日までに発生した殺人事件の発生件数は143件で、昨年同時期の38件と比較しておよそ3・8倍になったと17日付現地紙が報じた。
143件のおよそ半分にあたる67件は、州都ヴィトーリアの周辺にあるセーラ市、カリアシカ市、ヴィラ・ヴェーリャ市で発生した。この地域は貧しく、同州人口のおよそ3分の1が居住している。
警察は、殺人事件の原因を、①軍警不在を利用した麻薬密売者同士の拠点争いや代金取立て、②仲間を殺された警官が法の手続きを踏まずに起こした個人的な復讐や、市民の恐怖感をあおるための行為、③別の犯罪集団が起こした行為(軍警との関係の有無は不問)の三つの線に絞って捜査している。
殺人事件の被害者の多くは17歳から22歳で、警察の人員が手薄な場所や、商店での略奪、強盗事件などの最中に殺された例が多かった。
被害者の人種構成は、67%がパルド(黒人と白人の混血)、18%が黒人、15%が白人だった。エスピリトサント州の人種構成はパルドが49%、黒人が8%、白人が42%で、人口比と比べ、被害者の実態に大きな偏りがあることがわかる。
軍警のストは法律で禁止されているため、軍警の妻を中心とした親族が軍警大隊の出入り口を封鎖する形式をとった。このストは、最初の1週間で同州に大混乱をもたらした。
しかし、軍兵士や国家治安部隊が派遣され、ストに関与した軍警には解雇も辞さない懲罰をくだすとの強硬なメッセージを州が発表すると、ストの勢いは弱まった。
ヴィトーリア市の法医学研究所(IML)では、遺体収容のための冷蔵庫が足りず、急遽修理されたし、通常2時間かけて行われる検死も20分で行われている。待合室では、対抗する犯罪組織に所属していた死亡者の遺族同士の喧嘩も発生している。
その喧嘩を食い止めるため、IMLには散弾銃で武装した市警が駆けつけた。「遺族同士の喧嘩はいたるところで起こっている。死体解剖の部屋でもだ」と、法医学者で鑑識責任者のカッシオ・ライベル氏は語る。
同州政府は、急増した犯罪の中には、警官が関わっていたものもあると見て捜査を行っている。
事態を重く見たアンドレ・ガルシア州保安局長は「全ての殺人事件を精細に捜査する。スト期間中に警官が犯した犯罪に関する通報は30件以上になっている」「(軍警関与の有無は別とした)犯罪組織による行為の通報もある」とした上で、「今後の捜査で軍警が個人または犯罪組織の一員として犯罪に関わっていたことが判れば、厳しく処罰する」と強調した。
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