1月、ブラジルには国外から、115億ドルもの直接投資が流入した。国外資金流入は、ブラジル経済の回復を確信している国外投資家が増えたことの表れと18、19日付現地紙が報じた。
ブラジル中銀によると、1月は通常なら直接投資が少ない月だが、今年は総額115億3千万ドルの資金が流入し、1月としては、1995年に調査を開始して以来、最大となった。
経済アナリストは、国外からの直接投資増大はブラジルへの信頼感が高まっている証拠と見ている。
これは株価と為替の数字に如実に表れている。この1年間で、米ドルはレアルに対して22%下落し、サンパウロ株式指数(Ibovespa)は62・7%上昇した。
投資顧問会社パララシス・コンスルトリアの主席エコノミスト、ラファエル・レオン氏は、「今の現象を説明する唯一の説得力ある仮説は、ブラジルの政界危機が一段落した事で、経済が中期的に回復基調にある、または投資家にそう評価されていることだ」と語った。
ブラジル中銀によると、国外投資家のブラジルへの関心はエネルギー部門に顕著に現れ、1月だけで50億ドルの投資が流れ込んだという。ブラジル中銀経済部長のトゥーリオ・マシエル氏は、「電力部門が最も顕著だが、他にも総額10億ドル程の直接投資が入った部門がある」とした。同氏の言う「10億ドル程の直接投資があった部門」は、化学製品部門で、投資額は12億ドルだった。
エネルギー部門への国外資本流入は、主に二つのオペレーションが理由となっている。
一つは昨年11月末に行われたブラジル中西部ゴイアス州の電力供給会社Celg民営化の入札で、イタリアのEnel社が21億8700万レアル(7億2900万ドル相当)で落札したが、清算は1月30日付で行われた。
また、中国の国家電網公司は1月23日付で141億9000万レアル(47億3千万ドル相当)を投じ、サンパウロ州の一部に電力を供給しているCPFL社の経営権を取得した。国家電網公司は今後、市場に出回っているCPFLの株式取得にも動くと見られている。
「ブラジルは引き続き大きな市場で、底力もあり、投資家にとっては魅力的な国だ」とマシエル氏は語る。
今年1月に記録した115億3千万ドルに及ぶ直接投資は、中銀が予想した90億ドルや、昨年1月に記録した54億5千万ドルを上回った。これを受け、ブラジル中銀内部では、2017年全体の直接投資予想額750億ドルは「控えめ過ぎる」との声も出始めている。
1月に発生した経常収支の赤字50億9千万ドルは、予想を下回った事もあり、国外からの直接投資によって充分に埋め合わされた。