ブラジル連邦警察がルーラ元大統領、ジウマ前大統領、アロイージオ・メルカダンテ元官房長官(全て労働者党・PT)の3人が、16年にラヴァ・ジャット作戦(LJ)の妨害行為を行おうとしたとの見解を記した報告書を17日に最高裁宛てに提出していたことが明らかになった。21日付現地紙が報じている。
連警はこの報告書を、最高裁のエジソン・ファキンLJ報告官と連邦検察庁のロドリーゴ・ジャノー長官に手渡した。ただし、ルーラ、ジウマ、メルカダンテの3氏は不逮捕特権(フォロ・プリヴィレジアード、以下FP)が得られる政治要職には就いていないため、連邦地裁に起訴するよう提案している。
連邦検察庁が同件をどのように扱うかは、まだ明らかにされていない。連警側は3氏に対する正式な逮捕令状請求などは行っていないが、告訴に足りるだけの証拠は充分あると見ている。
ルーラ氏とジウマ氏の捜査妨害に関する告発の根拠は、16年3月に行われたルーラ氏の官房長官就任だ。ルーラ氏就任は最高裁のジウマール・メンデス判事が差し止めたまま、ジウマ政権崩壊と共に上告審理も流れたが、同氏の指名、就任は当初から、サンパウロ州検察の依頼を引きついだパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事からの逮捕を逃れるためのFP取得と見られていた。
とりわけ、ジウマ氏がルーラ氏を指名した当日(就任式前日)に、ジウマ氏からルーラ氏に就任のための条項が渡されていたことが強く疑問視されている。
メルカダンテ氏に関する容疑は、元上議のデウシジオ・アマラル被告が逮捕された33日後の15年12月28日に、元上議の側近と交わした会話の録音の内容に基づくものだ。メルカダンテ氏は当時、教育相で、デウシジオ元上議が報奨付供述に応じるのを阻止するために、何もしゃべらなければ、人身保護令を適用してもらえるよう、最高裁判事などに働きかけると持ちかけていた。
今回の報告書ではこの他にも、15年9月に高等裁判所判事に就任したマルセロ・ナヴァーロ・リベイロ・ダンタス氏の任命に関する疑惑も扱われている。
ナヴァーロ氏は当時、連邦裁判事の内部投票で作られた3人の候補のリストで2位だったにも関わらず、ジウマ氏の任命で高等裁判事となった。デウシジオ氏が後に連邦警察に対して行った報奨付供述によると、この任命はオデブレヒト社元社長のマルセロ・オデブレヒト被告を釈放させることが目的だったという。
ナヴァーロ氏の任命に関しては、当時高等裁長官だったフランシスコ・ファルコン氏の関与も疑われている。両判事は不逮捕特権があるため、両判事に対する容疑は最高裁の扱いとなる。
デウシジオ氏は上院政府リーダーだった15年10月、ペトロブラス元国際部長のネストル・セルヴェロー被告の息子に働きかけ、セルヴェロー被告が報奨付供述に応じないよう説得しようとした事実が発覚し、現行犯逮捕された。同氏はその後、議席を剥奪された。