ブラジル国家電力庁(Aneel)が21日に発表した計算によると、ブラジル連邦政府が国内の電力会社に対して抱えている巨額の賠償金を支払うため、今年から消費者が払う電気代が平均7・17%上昇すると21、22日付現地紙・サイトが報じた。
賠償金問題の発端は、ジウマ政権期の2012年に遡る。ジウマ大統領は同年、企業活動や家計刺激を目的として、大幅な電気代の値下げを計画し、各電力会社に対し、発送電業務委託期間の延長を含む契約の前倒し更新を強要した。
結果、電気代は20%下がったが、契約の前倒し更新によって生じた、2000年5月までに各電力会社が行った設備投資に対する補償という約束は、未だに実行されていない。
2014年の大統領選などで解決が遅れ、財源に窮した政府は、2015年3月に電気代の50%引き上げを承認した上、翌16年に賠償金分を消費者から徴収する電気代に上乗せすることを決めた。
支払いの遅れにより、賠償金には多額の利子が発生している。電力会社9社が向こう8年間に受け取る額は計622億レアルだが、その内352億1700万レアルは利息だ。
ブラジル国内の電力会社は地方毎に分かれており、電気代の引き上げ率は一律ではない。Aneelはその幅を1・13%から11・45%と見積もっている。
リオ州で営業するLight社は、早くも22日に、3月から電気代を一律4・53%値上げすると発表した。
今回の値上げは基本料金に関するもので、ダムの貯水率に応じて火力発電の発電量が変化することに伴う発電コストの増減(緑、黄、赤の旗で表される)とは関係ない。旗の色が変わった場合の電気代増額は、基本料金に上乗せされる。
Aneelのロメウ・ルフィーノ局長は、「賠償金の額を公表しているだけで、電気代の値上げ幅の事を言っているわけではない」と語った。
電力会社別に支払われる賠償金の規模と、電気代の上昇幅は、各社の料金調整時に計算される。サンパウロ州内を管轄するエレトロパウロは7月がその時期となる。
ブラジル大口電力消費者・電力自由市場協会(Abrace)のエジヴァウド・サンターナ会長は、賠償金は不法で、いわれなきものだとし、法的手段も辞さない構えだ。
ブラジル電力会社協会(Abrate)のマリオ・ミランダ会長は決定を支持し、「電力会社は遂に受け取るべきものを受け取れる」と語った。同氏はさらに「賠償金の支払いの遅れによって、ここ数年間、各電力会社は送電権の入札で不利を強いられてきた」とも述べた。