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ブラジルのリセッションはもう終わった?

 ミシェル・テメル大統領とエンリケ・メイレーレス財相が21日、年金制度改革に関する議員達との会合中、ブラジルが直面している経済危機に関連する発言を行った▼リオデジャネイロ州議会が水道公社民営化を承認した事で、連邦議会で地方自治体への財政支援のための法案承認を図る材料が出来たと評価したのは大統領だ。同州は他州に先駆けて財政上の非常事態宣言を行う程、深刻な財政危機の中にある▼一方、財相は「ブラジルは景気後退(リセッション)を抜け出し、成長期に入った」と語った。失業率上昇など、景気後退の後遺症は残っているが、サンパウロ証券市場指数が大幅に上がる一方でドル価が下がる、ブラジル銀行やペトロブラス、Valeといった企業の時価上昇などは、今後の成長をうかがわせる要因だというのだ▼財相は更に、2011年以降起きていなかった、企業家や消費者の信頼感指数の上昇が起きており、「今後も長期にわたる持続可能な成長を遂げる事が出来る」とも語った。11年は、米国発の金融危機を乗り越えたと思っていたブラジルが、再び経済減速化の兆候を見せ始めた時期だ▼中銀が先週、同行の経済活動指数で見た2016年の国内総生産は前年比4・34%減と発表した事を考えると、地方支援の財源確保や景気復調が本物かが気にかかる。だが、財相の発言は、国の財政再建のために現政権が打ち出した歳出上限法の承認や、年金や税制の改革案などの審議が、国内外での信用回復に繋がるとの確信に基づいている。正式な成長率の発表は3月だが、目に見える形の景気回復が遅れ、支持率低迷中の現政権にとり、声を大にして叫びたい内容だろう。国民も早期回復を願っている。(み)