ブラジルではこの週末、世界的にも有名なリオデジャネイロ市でのパレードなど、全国各地でカーニバルのイベントが佳境に入る。「陽気な国ブラジル」のイメージを国際的に植えつけるカーニバルだが、実はブラジルがそれほど明るい国ではないことを裏付けるデータが入ってきた。
国連の世界保健機構(WHO)が、全世界を対象に行った、不安障害と鬱病に関する調査の結果を発表したのだ。
それによると、地域別に見た場合、不安障害を抱えている人が最も多いのは北・中・南を含めたアメリカで、男性が人口の4%弱、女性に至っては7%後半に至っている。
どこの地域も女性の患者の割合が男性より2~3%ほど高いが、アメリカに次いで高いのが中東で、すぐ下にヨーロッパ、少し差があってアフリカ、東南アジア、オセアニアと続いている。
米州諸国を国別で見た場合、ブラジルの患者数はトップの9・3%で、2位のパラグアイの7・6%ともかなりの差がついている。それ以外の国では、チリの6・5%など、6%台前半だった。
鬱病の患者は世界人口の4・4%にあたる3億2200万人に及び、2005年~2015年の10年間で18・4%増えた。
地域別に見ると、アメリカとアフリカの女性が共に6%弱と高い。それ以外の地域でも女性の割合が男性を上回り、オセアニアが4%強である以外は、5%強に至った。
男性に関しては、5%弱のアフリカが1位。あとはオセアニアが3%弱と低い以外は、どこも4%弱だった。
米州諸国で見た場合、ブラジルの鬱病患者は、アメリカ合衆国の5・9%に次ぐ5・8%(1150万人)だった。ブラジルは世界全体で見ても、6・7%のウクライナ、同率2位のアメリカ合衆国、エストニア、オーストラリアに次いで5位だ。
このような結果になった理由を24日付エスタード紙は、「失業や生活環境、大都市に住むプレッシャー、社会生活への適応などに悩んでいるからではないか」と分析している。
また、社会一般的な傾向として、ブラジル人が自分たちの国のことを誇らしげに語ることはかなり少ない。その傾向は2000年代後半のバブル期の頃でも同様で、「GDPが高くても社会が未成熟」などとして、世間の実感も決して高いものではなかった。
現在は長引くリセッションに加え、ラヴァ・ジャット作戦に代表される政治腐敗のイメージも重なり、マスコミや世論でも、ネガティヴで自嘲的でさえある物いいの傾向が更に強まっている。
この点に関していえば、自分たちの国の美点を放送や出版レベルで持ち上げる傾向があるといわれる日本とはかなり異なる状況にあると言えそうだ。(24日付エスタード紙などより)