米国のトランプ大統領が不法滞在者を短期間で強制送還する事などを盛り込んだ移民法見直しなどを主張している事を受け、米国在住のブラジル人達に米国生まれの子供をブラジル公館にも届け出る動きが拡大中と2月26日付エスタード紙が報じた。
トランプ氏の大統領当選以来、米国市民権を持たない外国人は常に、不法滞在を理由に逮捕された上、強制送還される日が来るのを恐れている。この恐れは、2月21日にトランプ氏が更に態度を硬化させ、2週間程度で強制送還出来るようにする方針などを明確にした事でいや増した。
トランプ氏が当選した11月から2月22日までに、米国のブラジル公館で新規登録された子供は2406人。これは前年同期より7%多く、22日の手続きは通常の3倍の150件に及んだ。これは、米国生まれの子供が二重国籍者である事を実証し、自分達が強制送還された後に子供がブラジルに来られるようにするための措置を講じる親が増えている事を示す。
米国に16年住むクリスチーナさんも、強制送還を恐れる一人だ。彼女には米国市民権を持つ6歳男児がおり、トランプ氏当選以来、強制送還で子供と引き離される事を恐れる余り、精神科の治療を必要としている。
ナタリアさんも、強制送還の手続きが急に進めば3歳の息子を連れて帰れなくなると考え、ブラジル公館に子供を登録し、旅券も申請した。
11年に行われた調査では、米国22州には、親が強制送還され、児童相談所の保護下にある子供が5100人いる。強制送還された親が米国籍を持つ子供に会うための基準は厳しく、極端な場合は養子に出される。同国内に親戚がいないと、再会はより困難だ。
ヴァニセさんは米国に親戚がおらず、自分が強制送還された場合は、6歳の子供を一時的に友人に託し、子供をブラジルに連れてくる事を求める書類を作成している。親が強制送還される時に子供を一緒に連れて行くかは、原則として親が判断する事になっている。