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ブラジルで市場進出狙うアフリカ移民=祖国の生地で新銘柄の服売り出す

 リオ・グランデ・ド・スル州に住むジョエル・カミーレ・ホンドノウさん(27)が繰り返し話す言葉の一つは、「全ての犠牲には報酬がついてくる」だ。
 起業に焦点を合わせた経営理論を学ぶため、アフリカ西岸のベナンに家族を置いてブラジルに留学して来た青年は、4年後の今、ポルト・アレグレ市で、祖国から輸入した生地を使った服の製造と販売を手がけている。
 彼の目的は、アフリカの文化を目に見える形でブラジルに定着させる事だ。そういう意味で彼が見出したのは、祖国の人達が愛する図柄の生地を使った現代風デザインの服の製造、販売だった。
 実際の作業は、ベナンから取り寄せた生地を、ブラジル人のデザイナーと裁縫担当者の手を借りて、シャツやショートパンツなどに仕立て、ネット上で販売するという形で展開している。
 「うちで販売しているのはアフリカの服ではなく、アフリカ産の生地を使った現代的な服だ」というホンドノウさんは、「僕から見たブラジルは黒人系の人が多く、アフリカとはいとこみたいなもの。でも、リオ・グランデ・ド・スル州はヨーロッパ系移民の影響がすごく強いから、黒人系の人を象徴するような何かを発展させたいと考えたんだ」と言葉を続けた。
 ホンドノウさんの初期投資額は、生地輸入などに必要だった2千レアルだが、フェイスブックを利用して1点90~170レアルで売り出した商品の売れ行きは予想以上に好調で、専用サイトや店舗の開設も考えているという。「お客さんが要求しているんだ。注文はリオ・グランデ・ド・スル州だけではなく、ブラジル全土から来ている。こんなに早く反応が出るとは思っていなかった」と笑みをこぼす。
 現在扱っているのは女性用のみだが、男性用の服の製造、販売も近日中に開始する意向だ。生地輸入で関税の高さに驚いたというホンドノウさんは、「最大の難点はお役所仕事ではなく、税金が高い事」と漏らした。
 フランス人の母親とアフリカ人の父親を持つホンドノウさんは、留学を思い立った時、ベナンに家族を残してブラジルに来た。母親は現在フランスにおり、家族の事を思うと、胸が締め付けられそうになるが、「全ての犠牲には報酬がついてくる」事を信じて、今日も奔走し続けている。(2日付G1サイトより)