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移民110周年に向け発進!=皇室ご訪問に高まる期待=(10)=引継がれる皇族への崇敬

(左から)日本留学を目指す袴田さんと中村さん

(左から)日本留学を目指す袴田さんと中村さん

 「皇室の方がマリリアに来て下されば、そんな素晴らしいことはない。日系人だけでなく町全体として大変光栄なことです」―。流暢な日本語で答えてくれたのは、マリリア日本語モデル校で教師を務める中村理香さん(3世、46)だ。
 大学卒業後、92年にデカセギで日本へ渡り、多国籍児童を多く抱える静岡県浜松市の瑞穂小学校で3年、補助教員を務めた。その後も国際交流基金の制度を通じて日本での経験を積み、サンパウロ市で進出企業に務めた後、「ゆったりと故郷で過ごしたい」として当地へ戻った。同校で教師を務め、今年で7年になるという。
 両国を行き来し、日系人としての意識を深めてきた中村さん。「日語を話せないと恥ずかしいといって、教えてくれた両親には感謝している」と語り、「先人の移民の方々が築いて来られた信頼のおかげで今がある。それを大切に伝え、日本の良いところを分かってもらいたい」と教育に込めた熱い思いを語る。
 現在、生徒数は50人ほど。最近では非日系人も3割まで増え、「アニメなどの影響でしょうか。日系人子弟以上に、熱心に日語の勉強に励んでくれています」と笑みを浮かべる。
 「祖父の家には御真影があって、朝起きたら必ず手を合わせていました。日本の象徴として、天皇陛下を尊敬する気持ちは、家族のなかで今も引継がれています」と語る。
 「もしご訪問して頂けるなら、非日系人も一緒に日語に励んでいる姿や、ブラジル人に受入れられて混ざっている日本文化を見て頂ければ」と目を輝かせた。
 マリリア文化体育協会では、4月に開催される同会一大イベント『ジャパン・フェスタ』の準備に追われ、110周年実行委員会はまだ組織されていない。
 だが、中村ミチオ副会長(53、二世)は、今年3月頃にも訪日するという飯星ワルテル連邦下議にその思いを託している。
 「サンパウロ州奥地には、半世紀のあいだ、皇室の方はお見えになられていない。日本文化を大切に守って来られた一世や二世にとっては、『最後にもう一度』という思いがあるはず。そして、何より次世代にとっても大きな励みになる」と期待を膨らませた。(おわり、大澤航平記者)