サンパウロ州政府の管轄下にあるサンパウロ市地下鉄利用者が、16年は延べ11億700万人に止まり、04年以降初の前年割れを起こしたと3日付フォーリャ紙が報じた。サンパウロ市地下鉄の利用者は04年に前年比1・7%減を記録したが、それ以降は常に、前年を上回っていた。
もちろん、景気動向の影響は如実で、経済成長が盛んだった06~08年は利用者が9~12%増えたが、米国発の金融危機で景気後退が起きた09年は3・1%増、欧州経済危機でブラジル経済も減速化した11年は4・1%増に止まった。それ以後の利用者増は1%未満で、現在の景気後退が正式に始まった14年は0・33%だった。
だが、景気後退の長期化と失業率の上昇は、サンパウロ市地下鉄やサンパウロ州都電(CPTM)の利用者減少を余儀なくした。地下鉄の利用者減は16年のみだが、CPTM利用者は15年も前年を若干割り込んで8億3290万人に減った後、更に1・4%減って8億1940万人になった。
利用者減は、地下鉄公社やCPTMの減収も意味する。地下鉄利用者は前年より1千万人減ったから、単純計算すれば3800万レアルの減収となる。地下鉄公社が電車運行や線路、駅、車両の保守にかけた投資額は、ここ2年間で60%減ったという。
地下鉄公社の経営は利用者減と料金据え置きで更に苦しくなった上、バスとの乗継利用者から徴収する料金の値上げが禁じられ、州政府からの援助への依存度が更に高まった。バスとの乗継利用者から徴収する料金の値上げ禁止で料金収入は月々1600万レアル減る見込みで、高等裁に告訴すると共に、構内広告などで、料金外収入を増やす工夫もしている。
専門家によると、サンパウロ市地下鉄の利用者減少は、15~16年は新駅開業がなかった事も影響しているという。サンパウロ州交通局は、今年は5号線で9駅が開業する予定だから、利用者数は再び増加に転じると見ている。