ブラジル地理統計院(IBGE)は7日朝、2016年の国内総生産(GDP)成長率が、前年比マイナス3・6%だったと発表したと、同日付現地紙サイトが報じた。第4四半期のGDP成長率はマイナス0・9%で、同年中で最も大きかった。
GDP成長率は15年もマイナス3・8%だったため、2年連続のマイナス成長となった。景気後退(リセッション)は14年に始まっており、同年のGDP成長率はわずか0・1%だった。
テメル政権は経済成長を促すため、数年間は引き出せないはずの勤続期間保障基金(FGTS)の一部引き出しを解禁。中銀も、インフレ抑制傾向が予想以上であることなどから、経済基本金利(Selic)を積極的に引き下げるなどの政策を打ち出している。
予想以上のインフレ抑制や、消費者や企業家の間で景気への信頼感の高まりは、連邦政府が今年の第1四半期にはGDPが上昇に転じると期待する理由となっている。中銀関係者は、今年のGDP成長率をプラス0・49%、来年は2・39%と予想している。
エンリケ・メイレレス財相も、「景気後退は終わった」とのメッセージを各所で発し、第1四半期中のGDP上昇への転換を半ば煽っている。
政府は、景気刺激策として55件に及ぶ公共事業委託計画も打ち出す。これは、政府がこれまでに進めてきた、輸送やエネルギー分野におけるインフラなどの、投資パートナーシップ計画(PPI)に加えられるものだ。新鮮味があるのは、各州の水道公社15社の民営化計画だ。
州財政を潤す目的の水道公社民営化計画に関しては、州議会での承認が不可欠だ。先月リオ州で可決された同州水道公社の民営化では、職員、市民の反発が大きく、議会承認は難航した。
その他にも、35区間の送電線設置事業や、南伯のサンタカタリーナ州内を走る国道101号線や四つの港湾ターミナルの建設・経営権委託に関する計画なども含まれている。
【GDP減で税収低下、増税案も否定できず】
連邦政府は未だ回復の途につきかけたばかりの景気や、深刻な失業率を考慮し、増税という選択肢は極力最後に回してきた。しかし、マイナス成長で税収が伸び悩む中、国家財政健全化に向け、基礎的収支の黒字目標(今年度は1390億レアルの赤字)を達成し、財政責任法を守る意味で増税の道を捨て切れていない。
GDP3・6%縮小との報道後、エンリケ・メイレレス財相は経済社会開発審議会(CDES)の席上で、この結果は前政権の失政の影響であるとした上で、現在のブラジルは徐々にではあるが、景気後退から脱しつつあると語った。
記者たちから増税の可能性を問われた財相は、「現在の目標は、あくまでも財政目標を達成すること」と答えたが、なおも食い下がる記者に、「増税の可能性を完全に否定するものではない」と答えた。