【既報関連】7日にブラジル地理統計院(IBGE)が発表した、「2016年のブラジルの国内総生産(GDP)前年比3・6%ダウン」の知らせは、翌8日の国内各紙でも大きく扱われた。
GDPは15年も3・8%ダウンしており、2年間で7・2%減ったことになる。これにより、ブラジルの経済規模は2010年第3四半期の水準まで後退した。
14年第3四半期はゼロ成長、第4四半期は若干のプラスだったので、厳密には8四半期連続のGDP縮小だ。しかし、一般的には、現在の景気後退は14年第2四半期から始まったとされており、11四半期の間のGDPは9%減少した。
14年第2四半期以降で見ると、国民1人あたりの収入も9・1%低下している。
人口はこの間も増え続けており、「現状は、2年前より小さくなったケーキを大勢で分けている状況に等しい」と、IBGEコーディーネーターのレベッカ・パリス氏は語った。
8四半期連続で続くGDP低下は、失業率の増大からもうかがわれる。
14年末現在の失業者数は645万2千人だったが、16年末の失業者は589万人増え、1234万2千人となった。
失業者の増加や所得の減少は、景気を根元で支える購買力の低下にも直結している。
14年末時点の全就業人口の総賃金は1885億4200万レアルだったが、16年末は80億3800万レアル減り、1805億400万レアルとなった。
GDPの重要項目である固定資本形成(FBCF・政府が行う公共投資の固定資本)も、11四半期連続でダウンした。16年は、GDPに占める投資額の割合も16・4%と、過去20年で最低を記録した。
産業開発研究院(Iedi)の経済研究家、ラファエル・カジニン氏は、「政府が発表した公共事業委託計画が、投資増大のための唯一の希望だ」と語っている。
だが、17年第1四半期以降のGDPが上昇に転ずると期待する市場関係者は相当数いる。彼らは、16年第4四半期に唯一上昇を記録した農業部門と、34カ月間縮小し続けたが1月は成長に転じた工業部門がGDPを牽引すると見ている。
大手国際証券会社チーフエコノミスト、アルベルト・ラモス氏は、「GDPは今年の第1四半期にプラスに転じ、第2四半期からは成長サイクル開始の兆候が出る」と予測している。
国内大手銀行のエコノミスト、ロドルフォ・マルガート氏も、「農業部門で成長を示す数値が出ている。特に、小麦や大豆の生産上昇は顕著だ」とした。
エンリケ・メイレレス財相は、「昨年のGDP縮小は過去の政策の誤りを車のバックミラーで見ているだけ。今年は景気も力強く回復する」と語った。